ショート

□そんな日常
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「…………」

俺は今日、赤也とブン太とでラーメン屋に来ていた

「……………」

そして今、隣で赤毛が無言で器の中を箸でつついている

ブンちゃん、と話しかけてみるが、やつはその作業に必死で俺の声は届かなかった

もう一度呼びかけてみると、何だよぃと反応があった

「何しとるぜょ」

「……集めてる」

は? と聞き返すと、器の中を見るように促してきた

器を覗きこむと、そこには綺麗にまとまった油がスープに浮かんでいた

「天才的だろぃ?」

確かにスープに浮かんでいる油を綺麗に集めているのは素晴らしい

しかし、そのために費やした労力と時間を考えれば、こいつは馬鹿としかいいようのない気がしてくる

俺が黙っていると、丸いブタは お前馬鹿だなぁ と言った

そして何かを俺に説明しだした

「こうやって油を一ヵ所に集めるだろぃ?それでその油の部分を通らないように麺を引き上げれば、余計なカロリーを摂らずに済むと思うんだよ」
やっぱりこいつは馬鹿だった

それ以前にカロリーを気にしているなんて、やはり彼は丸いブタだ

すると先ほどまで黙って夢中でラーメンに食らいついていたワカメが、先輩スゴいッス!!とか言っている

目を輝かせている後輩と、天才的だろぃと調子に乗っているやつらは馬鹿を通り越して、もはやただの丸いブタとワカメだった

てか麺伸びきっとるし

絶対まずかろぅ

てかそんなことを1人で思ってる不憫な俺に薄々気付いている自分が何かもう嫌じゃ


今日も俺らは仲良しじゃった



――――――――

不憫な仁王さんになってしまいました…

でもこの三人はきっと仲良しなのです^^

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