SECRET BOYS

□+ FACTOR + 02
1ページ/7ページ


FACTOR/02



受肉不良の、細い 細い 腕に引き寄せられ___否、スーツの袖口を抓みあげられる。



幼げに

無邪気に 誘われるまま。


最早、私の視線は。



柔らかな、薄く透ける上質の、骨ばった肩から今にも剥がれ落ちそうなシャツ。

今にも___


落ちゆかんばかりの、緩過ぎるボトム。


漆黒の、甘い髪。


病的な、白い 肌。




なんて、色 だ。



なんて、黒猫、だ。



抗えない。


妻の顔も

子宮に眠る まだ見ぬ胎児も。



細胞のひとつひとつが


『抱け。』と。





酔ったように

ただ 命じている。



それほど、私の身体は熱を孕み始めていた。



『秘密は、ベッドの中で』


…真実か、否か?




何者にも看取られる事なく、薄汚れた暗い路地裏で冷たくなっていった、まだ幼い黒猫。



私は

『さようなら』

としか言わなかった。



もしかしたら

これは
あの消えていった小さな命への、罪悪、そして 冒涜的な 弔い。


この少年と熱を分け合う事で、あの黒猫が生き返る訳ですらないのに。


…『R』の情報の欠片さえ、入手できる保証すら定かでないのに。




『 早く、しようよ。』



僕を、舐めて。


僕を、

壊して 味わって。



何も 残らないくらいに。




黒猫の 細い指先が、

もうひとつの金のノブにかけられた。



あぁ。


憶測通りの、いっそ悪趣味なほどに豪奢な部屋。


照明は赤みがかって薄暗く、甘い香すら焚かれている。


キングサイズの、天蓋つきのベッド。



もう





引き返せはしない。






MAIN TOP



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ