SECRET BOYS

□+ FACTOR + 01
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世界が…



崩れる 音が しない?





一夜限りの情事の後

唄うように呟いた少年の残像は


今でも


私の記憶に

染みついて離れない



それは吐息のように甘く


吐き出した熱のように

こびりついて


拭えもしない 唄声だ


FACTOR/01




狭い路地裏を、やや急ぎ足で大股に通り過ぎる。

途中、視界の端に、積み上げられ散乱した塵の下に横たわり死んでいる子猫が映った。


まだ息絶えて間もないのだろう。

繁華街の路地裏に転がるには、そぐわない上質な黒い毛並みの、そんな猫だった。


たった 一匹で冷たくなっていく死体。


…一瞬、躊躇したが、今の私には時間がない。


「…Au revoir」


口内で噛み潰し、真昼でも否応なしに薄暗く湿り気の多い路をあとにした。



約束の時間まで、残り僅か。








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