Birthday企画2010
□手紙に添えた花
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「サクラさん、どうしたんですか!?」
息を切らしながら走り寄って来た僕に、サクラさんは優しい笑顔を向ける。
「そんなに急がなくても、大丈夫ですよ」
「いえ!待たせるわけにはいきませんから!」
僕はキランと歯を輝かせた。
それを見たサクラさんは、可笑しそうに笑う。
釣られて、僕も笑ってしまう。
なんて綺麗な笑顔なんだろうか。
夕日に照らされたサクラさんの顔は、いつにも増して美しく見えた。
「今日は、リーさんの誕生日ですよね?」
ぼーっとしていた僕はハッと我に返る。
「は、はい!そうです」
じっと見とれていたのがばれてしまったかも。
僕は急に恥ずかしくなり、目を逸らしてしまう。
するとサクラさんは、そっと僕の前に小さな花束と手紙を差し出した。
「え…これは?」
「私からの、誕生日プレゼントです」
一瞬、サクラさんの言葉を疑った。
まさか、本当に?
サクラさんが僕に、誕生日プレゼントをくれるだなんて。
思わぬ出来事に、僕はその場に硬直してしまう。
「あ…もしかして、迷惑だったでしょうか」
サクラさんの少し戸惑った表情を見て、僕は慌てて声を上げた。
「いえっ!そんな事は、断じてありません!」
そして、緊張で少し震える手でプレゼントを受け取った。
「はは…」
今が夕方でよかったと、心底思う。
じゃないと、耳まで真っ赤になっているだろう僕の顔が、サクラさんにばれてしまっていただろう…。
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