Birthday企画2010
□ありきたりな言葉しか言えないけど
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「…ありきたりな言葉しか言えないけど!」
真っ直ぐに目を見て、精一杯の気持ちを伝える。
「おめでとう」
もっと可愛く、笑顔で言えばよかった。
優しく、微笑みながら言えばよかった。
言った側から、後悔してしまう。
けれどリーは、
「ありがとうございます」
だなんて。
本当に嬉しそうな顔で、返してくれた。
その笑顔を見て、私は思わず顔が熱くなってしまう。
それをリーには知られないように、急いでぷいと後ろを向いた。
「…リー、この後私の修業に付き合ってくれない?」
照れ隠しに言った言葉に、リーはにいいですよと答えてくれる。
本当に、優しい奴。
今日はリーの誕生日。
私の、好きな人の誕生日。
彼にとっても特別だけど、私にとっても特別な日。
だって、大切な人が生まれた日だもの。
心からお祝いしてあげたいと思う。
けど、素直になれない私にはこれが精一杯。
来年はもっと素直になれますように…
そう思いながら、リーを振り返る。
「そうと決まれば、早速始めましょ!」
「今からですか!?」
来年はもっと、この距離が縮まっていますように。
「今からよ!」
私はニッと歯を出して、満面の笑顔をリーに向けた。
_→あとがき