Birthday企画2010
□ただ、それだけ。
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少し、早く目覚めてしまった朝。
特に何もする事が無かった俺は、演習場へ向かう事にした。
空を見上げると、そこにはとても綺麗で爽やかな青空が。
不思議と気持ちも晴れ晴れしている。
…こんな日は、一つ。
普段、絶対にしない事をしてみるのもいいかもしれない。
演習場に着くと、当然ながら誰もいなかった。
そういえば。
今日はリーの誕生日だと、ここ最近ずっとテンテンが言っていた事を思い出す。
いつも馬鹿で、ただただ真っ直ぐで、熱血なあいつ。
自分とは正反対なその姿に、苛立つこともあるが…
だが、今日ぐらいは。
ふと前を見ると、リーが歩いて来るのが見えた。
俺は、そいつにゆっくりと近づいて行く。
…今日ぐらいは
一言、言ってやってもいいだろう。
リーが笑顔で挨拶するのを遮り、俺は
「おめでとう」
ただ、それだけを言った。
目を丸くするリーが可笑しくて、思わず笑ってしまう。
そんなに俺が、祝いの言葉を言うのは変だったか。
「ありがとうございます」
しばらくすると、リーも微笑んだ。
たまには
友人の誕生日を祝うのも、悪く無いかもしれないな。
そんな事を考えながら、俺は朝のトレーニングを始めることにした。
爽やかな青空の下、爽やかな気持ちで。
今日はなんだか、とてもいい修業が出来そうだ。
_→あとがき