Birthday企画2010
□ただ、それだけ。
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朝。
爽やかな風が吹き抜ける。
僕がいつもより少し早めに演習場へ向かうと、既にネジの姿があった。
早朝練習でもしていたのだろうか。
僕に気付いたらしいネジは、テクテクとこちらに近づいて来る。
僕は笑顔で、挨拶をしようと片手を挙げた。
「あ、ネジ。
おはようご…」
するとネジは、僕のその言葉を遮るように、目の前に立ったかと思うと…
「おめでとう」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
僕が中途半端に口を開け
呆然とする中、ネジは少しだけ微笑んだ。
ただ、それだけ。
それ以上は何も言わないネジ。
そこで僕は、ようやく気づく。
ネジは、僕の誕生日を祝ってくれたのだ。
嬉しくなった僕は、ネジと同じように微笑みながら
「ありがとうございます」
僕もただ、それだけを言う。
交わした言葉はたったの二言だけだったが、たったこれだけでも、僕達は互いに気持ちを伝えられる。
これが、本当の友達というものなのかもしれない。
ネジは僕の目標であり、ライバルだ。
それでいて、最高の
友人でもある。
清々しい青空の下、清々しい気持ちで
そんな事を考えながら、僕は朝のトレーニングを始めることにした。
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