12/20の日記

00:51
言えないこと
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 なんか抱きまくらじゃ物足りない。わたしは自分の手の平をぐーぱーさせながら船の通路を歩く。……もっとこう、質量というか、どっしりとしたのを抱きしめたいなあ。

 と、いう訳で。‐‐‐今日は晴れていて良かった。わたしはマストの柱の前に立つと、呼吸を整えてから、ゆっくりと腕を広げる。

「……失礼しますっ」

そのまま柱に抱き着くと、鈍い木の質感が頬の温度を奪った。しばらくそうして柱に抱き着いていると、ふと、船と一体になったような錯覚を起こした。
 ‐‐‐カモメの泣き声。寄せては返す波の音。まぶたの裏に太陽の光を感じると、なんだか胸がいっぱいになるけれど、うまく説明できない何かが胸をふさいでいる。……そんな、気がした。



 ‐‐‐大丈夫。平気だよ。
だけど……。


「………ヒロイン?」

 名を呼ばれ、わたしは目を開く。そこには……。

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