みじかいおはなし1:薄桜鬼「桜色の空」
□予感1
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朝の冷たい風が道場の中を流れていく。
斎藤はやっと日が昇り始めたこの時間帯に、道場内で精神統一をすることを日課としていた。
ただ一人道場内に座り、心を無にする
何も考えず、何も思わず
あるがままの姿で
ふと感じた、気配がする方向に斎藤は視線を向けた。
いつもならこちらに気配など感じさせない彼女が、珍しく気配を出している。
不思議に思いながらも斎藤は名を呼んだ。
斎藤 一
「どうした、空?」
音もなく襖が開く。
籠維 空
『一君こそ、こんな朝っぱらからなんで道場にいるの?』
首をかしげながら空が入ってきた。