長編

□彼女が俺のオジョーサマ
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俺ァ、マルコ。
年齢は…、まあ伏せておくよい。
とある屋敷で、庭師やってるよい。



腰に付けたベルトには、のこぎり、手ばさみを。ポーチには植物用の栄養剤、草取り鎌、軍手、ブラシなど俺ら庭師には欠かせないものを詰めておく。
今日は高い植木での作業なので、一応胴縄もつけておく。仕上げに荒縄を肩にかけ、刈り込みばさみを持ち、長靴を履けば、いつもの仕事スタイルが完成する。

俺の一日は庭で始まり庭で終わる。
初めは植物の世話なんざ嫌だったが、実際にやってみると個人での作業が多いので一人の時間を楽しめる意外とリラックスできる時間だ。
それにここのオジョーサマはおおざっぱ、いやおおらかな方なので仕事は今日一日の分が終わればいつ始めてもいい、と言う方だ。

俺は言いつけを守って毎日きっちり終わらせる。そいつが俺のポリシーでもあるんだよい。


だが、偶に困ったことも言いだす。
正直に言ってあれは、うざい。


「マルコー!」


ほらねい、タイミングが良いんだか悪いんだがオジョーサマに呼ばれてしまった。
彼女が満面の笑みで窓から俺を呼ぶ時は決まって良い事ではない。現にエースが後ろに立って、両腕でバツ印を出してる。あれは危険だから来ない方がいいという俺ら使用人の中で考え出した合図。


「すまないねい!まだ仕事が残ってんだよい!」

自分の身が大事なので嘘をつく。
本当は仕事はばっちり終わっている。強いて言うならば西庭のバラと南庭の杜若に水を上げてない事かねい。


「来ないなら減給ね!」


衝撃の一言。
減給されてしまっては食いぶちが無くなってしまう。
ただでさえ今は、オヤジから本業の任を外されて収入がガタ落ちしたってのに…!これ以上金が減ってたまるかよい!
仕方なしにオジョーサマの部屋へ向った。






コンコンコン。
ノックを三回してから部屋へ入る。
そこにはにんまり顔のオジョーサマと何か白い物体まみれのエースが。

「で、今回はどんな用事で?」

「エースをベッドに押し倒してほしいの!」


「「………はぁぁぁああああああ!!!???」」


人をわざわざ呼び出しておいて、用事はまたそれかよい!
オジョーサマに片手には一眼レフ(通称YABAIちゃんだったか?)(違う!YAOIちゃん!)があることから、また恒例の写真撮影会でもやらされるんだろう。


「なあ、オジョーサマよい。俺らは成人してるし男同士なんだよい。そんなおっさん同志の…」

「マルコ!俺はまだ二十歳だ!」

「うるせえよい!話を遮るなぃ!…で、そんなおっさん同志の絡みなんか見てオジョーサマは本当に楽しいのかい?」

「うん。ものすごく!」


…駄目だ。道徳面に訴えようとしたが、どうやらオジョーサマにはそもそも道徳がない。教え諭すだけ無駄だ。

「さあ、マルコもエースも早く!」


とりあえず教え諭すんじゃなくて、体に直接教え込んだ方がいいみたいだねぃ。

彼女が俺のオジョーサマ


(痛い!何すんのマルコ!)
(いってもわからねえオジョーサマには痛い目見せないと分からねえらしいからよい)
(そう言うのは私にじゃなくてエースに言って!それでエースを押し倒せばおk!)
((…駄目だねい、こりゃァ……))


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