長編

□これが私の執事くん
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苗字名無しさん
只今16歳
あるお屋敷の主をやっています



私には父と母がいた。
その父と母は病気で亡くなった。
周りの大人は父の仕事を譲りうけようとしたり、財産目当てで近づいてきたり…。
もう大人なんか信じられない。

そんな時、父の古くからの友人であった一人の白いお髭を生やしたおじさまが家を訪ねてきた。


「嬢ちゃん、お前ェ俺の息子たちを預かってみねェか?」

「息子?」

「ああそうさ。どいつもこいつも馬鹿な野郎どもだが、俺の大事な息子たちだ。一緒にいて損はさせねえよ」

「おじさまがそこまで言うのなら。分かったわ。引き受けましょう」

「威勢の良い嬢ちゃんだ!グララララ!!」



そんな会話をした翌日、白ひげのオジサマはその"息子"って人たちを私に紹介してくれた。
仕事はすぐに覚えるし、体力はあるし、何より顔がいい。私の理想にぴったりじゃない!

そんな彼らを従えて、私はある大きな屋敷で彼らと暮らしている。


「エースー!」


オジサマの言った通り損はしなかったけど、正直偶につまらなくなる。みんな仕事に一生懸命すぎて話し相手にすらなってくれないんだもの。
だから、一番若いエースを呼んでいたずらをするのが私の最近の楽しみ!
ほら、走ってくる足音が聞こえる。呼べばすぐ来るって便利よね。ごめんねエース、いたずらに使って。でも楽しいし萌えるからやめられないの!

コンコンコン、というドアをたたく可愛らしい音と同時に右手にヨーグルトの入った器を構える。


「なんすか、おじょ…」

「やったー!ひっかかった!」


見事成功!私のぶちまけたヨーグルトは見事エースの整った顔にぶちまけられた。
顔からヨーグルトが垂れて、服に落ちているのもたまらなくそそる。
うん、良い写真がとれる!


「おじょう、さま…?なんすか、コレ…」

状況が分かってないエースに、カメラ片手に説明をすることに。きょとんとしてる顔も可愛いわよー、エース。


「いやね、エースにヨーグルトぶちまけたら…、萌えるなあって。そそるなあって」


エースが考え込んでる。きっと自分の何処に萌えるんだ、とか、どうして俺なんだ、とか考えてるのかしら。

何を隠そう(隠してないけれど)私は(自称)腐女子でオタクである。
いや、それでは語弊がある。わたしはただ可愛い物好きなだけ。だから初対面だったエースにメイド服着せようとしたのは間違いじゃない。手が勝手にやったのよ!


ヨーグルトまみれのエースが近づいてきて、私にお説教を始める。正直エースのお説教は何も怖くない。マルコのように鉄拳はとんでこないし、サッチのようにおやつお預けとかないもの。それにエースは簡単にだませちゃうから。好きよ、エース!


「お嬢様。仮にも屋敷の主であるあなたがそのようないたずらは…」

「しょうがないじゃない…。私なんかと遊んでくれるお友達なんていないんだから…。エースしかいないんだもの…!」


なーんて、嘘。
私には夜な夜な遊んでくれるお友達がいるもの。本当に便利よね、ネットって。家から出なくても簡単に友達ができるんだもの!


そんな簡単な嘘にだまされたエースが、私に謝ろうと膝を折って私の顔とエースの顔を同じ高さにする。

そんな隙を狙って…!

「なーんて。隙あり!」

「!?」


エースの目を狙って蜜柑の皮の汁をとばした。これって目にしみるのよね。


「いっつー…!なんすか今度は!」

「え、何って蜜柑の皮の汁。いやー、涙目でどろっどろの白濁色の液体に塗れてるエース…。やばい、これは撮影しないと。永久保存だわ!」

こんなそそるエースはめったに見れないわ!これは私の相棒のYAOIちゃん(一眼レフ)の本気を出さないと!写真集作れるわ!


これが私の執事くん

(よし、マルコ呼んできて)
(あー、マルコはなんか私用で出かけてるらしいですよ)
(えぇえええ!!!うーん、サッチ×エースは萌えないから、マルコ×エースがよかったのに…!こんな大事な時にいないなんて…!マルコ減給けってーい!)
((こんなに萌えるシチュエーションが完成してるのに!))

 

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