長編

□これが俺のお嬢様
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ポートガス・D・エース。
只今二十歳。
あるお屋敷の執事やってます。



ここの屋敷は、結構広い。
広いのだがご主人とご婦人は不幸な事に病でお亡くなりになられてしまった。
そして今、このお屋敷にはお二人の大事なご令嬢、名無しさんお嬢様と、俺たち使用人で暮らしている。


「エースー!」

ほら、今もお嬢様がお呼びだ。
呼ばれたら何が何でも行かなくちゃならねえ。なぜなら執事だから。

さて、今回はどんな用事で呼ばれるのかねぇ…。


「なんすか、おじょ…」

扉を三回ほどノックし、扉をあける。
だが、開けた瞬間俺の視界は真っ白に。


「やったー!ひっかかった!」

「おじょう、さま…?なんすか、コレ…」


"ひっかかった"と言う言葉から察するに、この事件は名無しさんお嬢様が故意に起こしたものであることが分かる。
だが、なぜこんな悪戯を?


「いやね、エースにヨーグルトぶちまけたら…」







「萌えるなあって。そそるなあって」


さも当然、のように言われてしまった。
待て待て待て。俺は健全な男で、大人で、そう言うのをかぶっても萌える要素が何一つ見つからない。
…一つだけ心当たりはあるが、そうでないと思いたい。そうでないと信じたい。


「…お嬢様、仰ってる意味がよく理解できねぇんですが」

「えー。ほら、エースがその状態でベットに倒されててマルコが上に馬乗りになってれば襲われたみたいで萌えるじゃん。もー、写真に撮っておきたいくらいに」


や っ ぱ り な !

うちのお嬢様は、そんじょそこらのお嬢様とは違う。筋金入りの変態だ。
俺も最初は燕尾服ではなく、メイド服を着させられそうになった。しかもその時の謝罪は、「ごめん、似合いそうだったから」。大の大人がメイド服(しかもミニ丈)なんか似合うと思うか?


「お嬢様。仮にも屋敷の主であるあなたがそのようないたずらは…」

「しょうがないじゃない…。私なんかと遊んでくれるお友達なんていないんだから…。エースしかいないんだもの…!」


そう、お嬢様のご家系は代々世界一の大富豪と呼ばれる立場であってもおかしくないくらいに富んでいる。
その所為で、周りからは恭しく接せられたり妬まれたりしている。
さびしくなってしまうのも当たり前だろうか。


「お嬢様…、俺は失礼な事を…!」

「なーんて。隙あり!」

「!?」


一気にしょげてしまったお嬢様に、悪い事を思い出させてしまったことを謝罪しようとしゃがみ込むと、俺の目に向って何かが飛ばされた。
なんだコレ。すっげえ、しみる…!


「いっつー…!なんすか今度は!」

「え、何って蜜柑の皮の汁。いやー、涙目でどろっどろの白濁色の液体に塗れてるエース…。やばい、これは撮影しないと。永久保存だわ!」




これが俺のお嬢様
(よし、マルコ呼んできて)
(あー、マルコはなんか私用で出かけてるらしいですよ)
(えぇえええ!!!うーん、サッチ×エースは萌えないから、マルコ×エースがよかったのに…!こんな大事な時にいないなんて…!マルコ減給けってーい!)
((どんまい、マルコと俺…))

 

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