恋する動詞111題

□51.寄り添う
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→寄り添う
→もたれかかるように、そばへ寄る




大介がいじけてる。
たぶん、今日の練習で何かやらかしたんだろう。ソファに背を預けて三角座りで膝の間に顔をうずめて、少し肩を揺らしている。
いつもは頼りがいがあって大きな背中が、今日は少しだけ小さく見えた。たぶんそれは、丸まっている、という理由だけではない。
気持ち的にも、今は小さくなってしまっているのだろう。


「大介、ただいま」

「…っ、お、かえ、り…」

「どうしたの?」

「・・・・」


…だんまりか。
でもこういうときはそっとしておくのが一番って、有里さんが言ってた。…たしか。

落ち込んでいる大介の左隣に一緒に座る。
お互いの肩が当たるくらいに、近く、近く。


「また今日の練習で何かやらかしたんでしょ?」

「…うん」

「なにしたの?」

「…おっ、…れが、また、自殺点、きめ…ちゃって…!…それ、からっ…、頭ん中、真っ白で…、動け、なくて…」


あーあーあー、また泣きだしちゃったよ。
泣かせるつもりはこれっぽっちもなかったのに。少しでも楽になるように、いっぱいいっぱい吐き出してほしかったの。
悩みも不安も、痛さも辛さも。二人で分け合えば、半減するでしょう?
大介の悲しみは、私も一緒に背負ってあげたい。


「大介。達海監督に言われたでしょ?何度でも失敗していい。でも、一回のプレーで多くの人を魅了しろって」

「うん…」

「だから、何度だって失敗していいの。何回も何回も失敗して、もう駄目だって時にジャイアントキリングを起こすの。そうやってる大介を私は何回も見てる。大介なら、大丈夫だよ」

「あり、がと…。…俺、やるよ」

「ふふっ。良かった」

「あ…、のさ…」

「何?」

「…きっ、キスしても、イイ…デスカ…?」

「…どーぞ!」


寄り添う

(くっついていたい!)
(心も体も一つになって)



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