番外編
□三月:ホワイトデー。
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「あ」
「お」
「――チッ!」
茜と約束した18時に彼女の家に着くと、家の前で沖田くんと多串くんに鉢合わせた。
「なんでお前らがここにいるんだよ」
「万事屋の旦那こそ、茜に何か用ですかィ」
「俺はこれから茜ちゃんとラブラブでイチャイチャなホワイトデーを過ごすんだよ」
「あれ、奇遇ですね。俺もでさァ」
「ちょっと待てェ!! 総悟、お前夜の見廻りはどうした!?」
「山崎に行かせやした」
「なに勝手なことやってんだテメェ!!」
「あー、ホラ。沖田くんほっといたら、また見廻りサボるかもしれねェし、土方くんも一緒に行けば?」
「テメェはなんで一人だけ残ろうとしてんだァ!!」
3人でギャアギャア言っていると、玄関の戸が開いて茜が顔を出した。
「騒がしいと思ったら、何やってんですか」
「ちょっ、茜ちゃん! コレはどういうことだよ!?」
「へ? 言ってませんでしたっけ?」
詳しく話を聞いてみると、どうやら一番最初に彼女をホワイトデーの食事に誘ったのは神楽だったらしい。
それなら俺と新八も一緒にみんなで晩飯
を食おうということになり。
茜ちゃんから声をかける前に、野郎共が声をかけ、それならみんな一緒でいいじゃないかと思ったらしい。
「大勢の方が楽しいだろうし、みんなホワイトデーに私なんかに声をかけるくらいだから、他の女の子との予定もないのかなと思いまして」
そうにこやかに言ってのける彼女に気付かれないよう、俺たち3人は大きく溜め息を吐いた。
部屋の隅で顔を突き合わせて話す。
「茜ちゃんのアレって本気で鈍いのか?」
「アイツはそんな高度な計算ができる女じゃないですぜ」
「ということは、こっちが二人きりのつもりで誘ったなんて思ってない。イコール、どいつもこいつも男として見られてねェってこった」
煙を吐き出しながらそう言った土方くんに、不本意ながらも同意する。
「だなァ。いろいろ用意してきたのに……」
「俺もせっかく道具用意してきたのになァ」
「オイ総悟、念のため聞くがそりゃ何の道具だ」
「やだなぁ。コンドームくらい用意するのは男のたしなみですぜィ、土方さん」
「お前、絶対にサデスティックな何かを用意してるだろ!」
一応、茜に聞こえないよ
うに声を押さえて いたのに。
「なにゴム臭い話してるアルか」
「神楽ッ……!?」
「おい、チャイナ娘ェ! 今の話、小野には言うなよ!!」
「黙っててほしいなら、よこすもんよこせよ」
あることないこと言い触らされる前に、神楽に口止めしようとしていた俺と土方くんに対し、神楽に敵意むき出しの沖田くん。
「大人の話盗み聞きしてんじゃねえや、チャイナ娘」
「あァん?」
「ちょっ! 沖田くんも神楽ちゃんも、ここは穏便に――」
「総悟、今は退け! 耐えろォ!!」
「いやでさァ」
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