なりゆきまかせ

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 翌朝四時に起きて万事屋メンバーの朝ご飯を作ってから出かけた。

 坂田さんとは顔を合わせたくなかったから、早朝出勤はちょうどいい。

 ……て言うのは言い訳でしかないか。

 坂田さんとあんなことがあって、どんな顔をしたらいいのか分からなかったし。

 キスは初めてではなかったけど、付き合ってもないのにあんな……。

 ブンブン頭を振って、昨日のことを頭から追い出す。

 真選組の屯所へ着く頃には、隊士さんたちも朝稽古が始まったところのようだった。

 終わってからお風呂入る人もいるだろうからお風呂用意して、朝ご飯だっけ。

「おーし、行くぞコルァ!!」

「どこに行くんですかィ」

「ひいいっ!!」

 後ろからにょっこり現れたのは総悟くん。

「お、おはよう……てゆうか、朝稽古はいいんですか?」

「そんなことしなくたって十分強いんでねィ。ところで茜……万事屋の旦那のとこに住んでるって?」

「ええ、まあ……。今すぐにでも出ていきたい心境ではありますが」

「旦那に夜這いでもされたか」

「……ノーコメントでお願いします」

 話は終わりとばかりに、私はそそくさと立ち上がって風呂場へ向かう。
 総悟くんは無言でついてくる。

 私が風呂掃除している間も、終始黙って考え込んでいるのか何も考えていないのか……。

「……総悟くん」

「なんでィ」

「さっきから何なんですか?」

「べっつにィ。あ、キスマーク」

「は!?」

 突然指を差され、慌てて首を押さえた。

「……かと思ったけど、ちがったァ」

「なっ……だ、だましたっ……!?」

 総悟くんがドSな顔でニヤリと笑う。

「旦那と何があったのか、吐いてもらいやすぜ」

 や、ヤバい……!!

 何がヤバいのか分かんないけど本能がそう感じてるし、逃げた方がいい気がします……!!

「朝ご飯作らなきゃなんで、すんまっせーん!!」

 本能的に危機を感じた私は、全速力でその場から逃げた。









 総悟くんをどうやってかわそうかと考えながら、あれやこれやと仕事を片付ける。

 働くのは嫌いじゃない。
 目的に向かって無心で体を動かすのって、ストレスもたまらないから。

 ……無心なら、だけど。

 朝ご飯の片付けを隊士さん達にも手伝ってもらって終わらせ、大量の洗濯物もようやく干し終わった。

 今日は昼ご飯作らなくていいって言われたし、ようやく一息つける時間が取れる。

 暖かい縁側でぼんやりしていると、朝が早かったせいもあって眠気がこみ上げてきた。

「…………」

 ウトウトしてハッと気付くと、隊服の上着がかけられていた。

「ん……。これ……は……?」



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