なりゆきまかせ
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私が銀魂の世界に来て一週間が経った。
万事屋での生活にも慣れ近所の道も少しは覚えたので、お登勢さんや万事屋のおつかいでちょこちょこ外出している。
今日は万事屋メンバーは仕事で出かけているので、私もバイト探しに出ることにした。
現実世界でやってた接客業をこっちでも探してみようかと思うんだけど。
とりあえず、ブラブラしながら色々な店先の求人広告を見て回る。
こっちでの時給の相場とかどのくらいのものなんだろうか……。
キョロキョロしながら歩いていたせいで、迂闊にも前をよく見ていなかった。
どん、と前を歩く人の背中に顔からぶつかってしまった。
「うわ、ごめんなさい! よそ見してましたっ」
「あァ?」
後ろを振り返ったその人は、瞳孔がぱっくり開いてました……(怖いよ!)。
黒い洋服、くわえ煙草、黒髪、そして開いた瞳孔……。
「どうしたんですかィ、土方さん」
少し前を歩いていた栗色の髪の美少年が、瞳孔さんの横に並んだ。
あああー……この二人ってアレだよね。
なんか面倒なことになる前に、適当に理由つけて逃げた方が良さそうだなー……。
「なんでィ、アンタは」
栗色の髪の男前が私をジッと見た。
「あの、うっかりよそ見していて、こちらの瞳孔の開いた方にぶつかってしまいまして。
本当に申し訳ありませんでした。
それじゃ、私急ぎますんで!」
颯爽とその場を去ろうとしたのに。
「ちょっと待てェ!! 誰の瞳孔が開いてんだ、コラァ!!」
「土方さんでさァ。
で、アンタ。謝っただけで終わりとでも思ってんのかィ?」
「総悟! 真選組が脅迫めいたことしてんじゃねぇ!!」
うう……もう巻き込まれたぽい……。
逃げそこねたので潔く諦めて、総悟と呼ばれた男の顔を見た。
「あの、本当に申し訳ありませんでした。ぶつかった私が悪いので、どうしたら許してもらえますか……?」
「アンタ、名前は」
「小野、茜です……」
「茜、料理はできやすかィ?」
「はあ、まあ、人並みには出来るかと」
「なら、ちょっと付き合って下せェ」
「は?」
「オイ、総悟……」
止める土方さんを無視して、総悟さんは私の腕をガッチリつかまえてパトカーに引きずり込んだ。
「え、あの……ちょっ!!
人さらいーっ! 警察ーっ!!」
「悪ィな、俺らが警察だ」
そうでした……。
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