なりゆきまかせ

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 たっぷり眠って起きたけど、やっぱり昨日のことは夢ではなかったようで。

 起きたのは自分の部屋じゃありませんでした。

「あぁ〜……やっぱり夢オチとかないのか……」

 そこで、ふと隣りの布団を見ると坂田さんの姿がない。

 そっと和室を出ると、ソファでイビキをかいている天パがいた。
 テーブルの上には一人酒のあとが。

「あの後一人で飲んでたのか、この人……」

 呆れるというか、銀さんらしいというか。

 私は和室から自分の服を持ってくると、坂田さんと神楽ちゃんを起こさないように、風呂場の脱衣場へ入った。

 お世話になったし、二人が起きる前に朝ご飯でも作ろうか。

 もぞもぞと着替えようとした時。

「おはよーございます。 銀さん、神楽ちゃん、まだ寝てるんですかー?」

 そう声をかけながら万事屋に入ってきたのは、男の子?

 思わず動きを止めて息を潜める。

 あ、そういえば。
 万事屋ってもう一人いたんだっけ。

「あ。脱衣場の電気点けっぱなしじゃないですか」

 嫌な予感がして引き戸に手を伸ばした。

「ちょ! 待っ……!」

「もー、お金ないんだから節約して下さ……」

 制止するのも間に合わず、服を着るのも間に合わず。

 ガラッと勢いよく戸を開けられて、眼鏡の男の子と目が合った。

 私は上半身ブラジャーのみで。

「え? ……え!? なんっ……」

「キャアアアーッ!!」

 胸を手で覆って、その場にしゃがみこむ。

 次の瞬間。

「「おらあァァァ!!」」

「ぐはあっ!!」

 坂田さんと神楽ちゃんの跳び蹴りで、眼鏡くんがふっ飛んだ。

「茜、どうした!?」

「大丈夫アルか!?」

 せっかく駆けつけてくれた二人なんだけど。

「「あ」」

 坂田さんにも見られたんですけどーっ!!

「出て……」

 出て行って下さい、と言おうとしたんだけど。

「ほわちゃああっ!!」

「ぶべらっ!!」

 私が言い終わるその前に、坂田さんがふっ飛んでいた。






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