歪
□僕だけのアリス
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元の世界に戻ってきて、まだ一週間しか経っていないのに、随分長い間経っている気がする…。
歪みの国から解放されて、チェシャ猫と一緒に帰っている途中の事を思い出した…。
「…チェシャ猫は一緒に居られるんだね―。」
「猫だからね。」
いつものニンマリ顔で笑っている。
私はその笑顔で安心出来た。でも今は―――…。
「シロウサギやみんなは今頃どうしてるんだろ…。」
急に不安になりだした私に、温かい体温が覆い被さった。
「アリスは何も悪くないよ。みんなアリスの事をいつも思ってくれている。だから悲しまないで。」
と、チェシャ猫が優しく囁いた。
その時のチェシャ猫は、顔は笑ったままだったがそのコトバでまた安心をくれた。
「…ありがとう…。チェシャ猫…。」
私は思わず瞳に涙が溜まってきた。
―――…今になって思うとチェシャ猫に抱きつかれた事に軽く赤面しつつも、ある言葉を言い忘れた事に気付いた私は、早くチェシャ猫に言わなくちゃと急ぎ足で向かった…。
「チェシャ猫ぉ―――??」
「なんだい??アリス」
「うわあッッ!!!!」
チェシャ猫は天井で寝そべっていた。
いつもチェシャ猫の行動でびっくりしてしまう。私は、もう寿命が半分縮まってるんじゃないかと思うほど…。
「あ―びっくりしたあ!!あ、チェシャ猫お―」
「なんだい??」