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□キスの意味
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“髪へのキス=思慕”


ベッドの端にそっと腰掛けて、
スヤスヤと眠るのを眺める。
子供の頃から傍にいて
きっとこの先も変わらないと、
なぜか漠然とそう思っていたのに。
成長するにつれ綺麗になることに焦りを覚えた時には、
手に入れたいとチャンスを待つ男が多く存在した。
それをきっかけに
渡したくないというはっきりとした独占欲が生まれて、
恋を知ったのだ。

…いや…たぶん…
それはずっと昔
幼少期から持ち続けていた。

狭い世界にいる、
親でも
ともだちでもない
特別な存在。

ずっとずっと
特別でありたい
そう思ってきたのだ。
その気持ちがなにかを知る前からずっと。

手に入れて
閉じ込めてしまいたい。
その瞳に映るのは自分だけでいい。

…なあ…
おまえがそれを自覚するまで
あとどれくらい待てばいい?
おまえが気づくより先に、
俺が我慢出来なくなりそうだ。
頼むから…
早く気づけよ。

あどけない寝顔から視線を外す。

シーツの上に広がる髪を一房取って――

――くちづけた。



幼なじみな十四郎くんのある日の行動


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