Variety is the spice of life.
□Variety is the spice of life.
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その口調が大分落ち着いたものになっていたからか、はじめはそれを軽く聞き流した。
「あー…そーなんだ……――っ!?」
――綺麗に拭いた?拭いたって言った?土方さんが、綺麗に……!?
「…ま、どうしてもってんならお湯とタオル用意してやるが…」
「い、いいです!結構です!明日入りますから!」
「ならもう寝ろ」
「寝ますよ!…寝ますけど…………あの…?」
落ち着いた口調とは言え物腰は決して穏やかではなく、見慣れた仏頂面とは違う――明らかに何かに対して怒りを覚え、抑えようと必死になってるのだと気づいて、どうしたのかと彼を見た。
「なんだよ」
「何か怒ってますよね?」
言いながら布団をはいで立ち上がると、トイレに行きたい気がすると襖へ足先を向けた。
「どこ行くつもりだ?テメェは人の話を聞いてたのかよ?」
「どこって…ちょっとそこまで?」
「ふざけてんのか?」
「ふざけてないです」
出来れば丑三つ時前にトイレを済ませたいだけだとなぜか素直に言えず、誤魔化すように突っかかることしか出来ない。
「大人しく布団に入って寝ろや」
確かに…あれだけの人数に襲われたのだ…心配も事後処理の面倒も掛けただろうし、申し訳なく思う。
だけどいくらなんでも過保護過ぎると、沸き起こる苛立ちを抑えきれず、襖に手を掛けた左手を押さえる土方さんの手を退けようと力を込めた。
その瞬間、軽く重なっただけだったその手が強く握り締められて引かれたため、構えていなかった身体のバランスが崩れ――。
「うわっ!!」
その体勢の崩れを利用した土方さんに、体を布団に転がされた。
そのまま起き上がれない様に左腕を布団に押し付けられる。
「何すんの!離し――んんっ!!」
声を上げる口を手で塞がれ、ふざけるなと睨みつけた。
「それで抵抗してるつもりか?睨みつけるだけで男が退くと本気で思ってんのかよ、テメェは。…いい加減にしねェと手錠で柱に繋ぐぞ!」
「――う゛ぅ、ううううううぅー!」
――死ね、土方このヤロー!
本気で怒ってる。
そう感じていたけれど…理由が分からないと、苛立ちのままに悪態をついた。言葉にはならなかったが…。
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