It withers and withers

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剣と剣がぶつかり合う金属音…血が流れ、鼻をつくような鉄の臭いが、辺りに広がる。



…ッガッ!ガガッ!!

キイィィィン!!!



俺の刃が相手の刃を弾き、大きく宙を舞った。






「ハァッ…ハァッ!」

「丸2日と長い闘いだったが…遂に終わりのようだなぁ、剣帝さんよぉ…!」

「クッ…!」

「ゔお゙ぉい…最後に何か言い残す事はあるかぁ?」



俺は相手の鼻先に剣を突き付けた。ギラリと光る刃に、ヤツの喉がゴクリと鳴る。






「…俺の負けは認める…ヴァリアーのトップは実質貴様だ、好きにするがいい。…だが、俺には一人娘がいる…。」

「あ゙ぁ?」

「まだ幼く、生まれた時に母親は死んで…俺がヴァリアーの屋敷で育ててきた。…頼む、娘の命だけは…!!」



予想外の展開と命乞いに、俺は笑いが込み上げてきた。



「…ハッ!最後の言葉が、屋敷に残してきた娘の命の安否か。暗殺部隊のボスといえど、アンタも人の親だなぁ?」

「頼む…!!娘だけは殺さないでくれ…ッ!!!」

「…いいだろう、生かしておいてやる。だから安心して…逝けぇ!!」






ザシュッッ!!!



「ガッ!…ハ…ッ!!」






容赦なくヤツの体に剣を降り下ろして、その断末魔に飛び散る真っ赤な血を浴び、俺は呟く。



「剣帝テュール…貴様の名は、覚えておいてやる。」






あの日、当時ヴァリアーのボスであったテュールに死闘の末俺は勝利し、晴れてボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーに入隊する事になった。



暗く深い海の中をさ迷って、真っ赤な血の海に沈む俺は、まさに獰猛な鮫。

今迄もこれから先も、俺は血を追い血を浴びて生き、最後を迎えるのだろう。



…アイツと出逢うまでは、そう思っていた…。









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