my little ”alo”!
□18 慈しむ事なかれ
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「急激な成長による細胞及び元素膨張のため筋肉破損、脊髄損傷、回復と分解その繰り返し。
激痛でまともに食事と睡眠を取れないため、自律神経失調と精神的情緒不安定。数値もかなりさがってる。」
俺が読み上げるデータを頬杖をつきながら聞き、手元のデータを眺め仏頂面でハッと短い溜め息を吐くザンザス。
この男にしちゃ珍しく考えて込んでいる様で、眉をしかめて頭をガシガシと掻き上げた。
「なぁ、もう無理だろぉ。」
「…んな事ぁ分かってる。」
手元の箔押しされた高級用紙に何やら文字を綴り、印を押す。
そしてそれをピラリと俺に向けた。
「おいカス、出しておけ。」
「あ゙ぁ?何だぁ…、」
紙を目の前に広げ、止まってしまった。
「ボンゴレ9代目直属暗殺部隊ヴァリアー第1309号条約発令に基づき、被験体スクアーロ・グランデ・ピオッジャの措置を此方に有する。尚、措置について―――
ボス、これは…!」
「実験に協力する時、交わした契約書の一文だ。アーロが再起不能になった場合、情報を外部に漏らさない為こっちで処分するってな。」
「再起不能って、まだ分かんねぇじゃねぇか!!」
「もう無理だと言ったのはてめぇだろうが、ドカス。」
「ッ!!」
処分―――
そんじょそこらの会社組織の、罰を与えるという意味ではない。
廃棄…所謂死だ。
勝手に印を押すザンザスに反論しようとしたが、言葉が出てこなかった。
確かにアーロにとっては、こうなってしまった方がよかったのかもしれない。
アーロの様子を見ていて、遅かれ早かれ検査の結果死亡率90%は免れねぇ。
なら、それを理由に『後学の為に解剖を』などと研究者達に好き勝手扱わられねぇ様、すぐにでも権利をこっちに遷しておいた方がいい。
…頭が痛い。
アーロの為だと分かっていても、何処か心の中で受け入れまいと、必死だった。
「異論は?」
「…ねぇ。」
人の命を奪う生業をしている俺だが、いつもなら何とも思わない。
男も女も、大人も子供も…剣を振りかざし少し左腕を捻りゃ、もうそこで終わる。
だが、お前の命を奪う決断をして…初めて思う。
なぁアーロ、お前はどうしたかった?
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