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『ピピッー!』
笛の音が体育館全体に鳴り響く。
「よーし、全員集合だー」
監督の田岡がそう言うと、部員全員が田岡の周りに集まり出した。
美和子は腕時計を見ると、19時半を差していた。
「わ…もうこんな時間」
辺りを見ると、もうすっかり暗くなっていた。
足元に置かれていた鞄を手に持つ。
「美和子ちゃん!」
呼ばれた方に顔を向けると、タオルを首に掛けた仙道が美和子の元へ駆け寄ってきた。
「お疲れ様。すごい汗だね」
「うん。今日は特に頑張っちゃったからね。」
「今日は、なの?」
「美和子ちゃんが見てくれてると思ったら、いつもよりやる気が」
「な、何言ってんのよ」
「あ、照れた」
「て、照れてないっ、じゃあ私、帰るねっ」
そう言うと、逃げるように帰ろうとする美和子。
「ちょ、ちょっと待って!送る!」
「え、いいよっ!
……て、もう居ないし…ι」
美和子が振り返ると仙道の姿は既に消えていたのだった。