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──放課後──


「よーし、あと一本!!」
「おう!!」


美和子はバスケ部が練習している体育館に通りかかった。


「(あれ、今日は仙道くんの取り巻きがいない…)」

こっそりと顔を覗かせてみると、仙道の姿も見えない。

「(また遅刻かな…仙道くん、)」



「咲良じゃん。何やってんだ?」


振り返ると、ボールを片手にジャージ姿の越野が立っていた。

「お疲れ。
ちょっとそこ通りかかったから」


「ふーん、
つーか仙道見てねぇ?」

眉間に皺を寄せる越野。

「仙道くん?今朝会ったきり見てないけど、」


「ったく…。
今週、練習試合だっつーのに」

越野はそう言うと、ため息をついた。

「練習試合?」

「あぁ。湘北とな」

「へぇーそうなんだ。」


「コラァー!越野ォォー!」


体育館に怒声が響き渡った。
キャプテンの魚住だ。


「やべっι俺、行くわ」

「うん。頑張って」


片手を上げ、急いで練習へと戻っていく越野。
美和子はそれを目で追っていった。







「(練習量ハンパないな…)」


美和子はバスケ部の厳しい練習風景を目の当たりにしていた。

「(毎日このメニューをこなしてるなんて…、


頑張れ…! 陵南バスケ部!)」


そう願いながら、食い入るように見つめる美和子だった。

すると、


トントントン


右肩を叩かれる。
美和子は後ろを振り向くと、

ぷにゅ

頬っぺたに人差し指が突きささる。


「あ、」


眉毛を下げ笑うツンツン頭の男。

「ははっ 引っかかった、」

仙道は美和子の何とも言えない表情を見て、ヘラリと笑う。


「なっ、何すんのよっ」

美和子は後ずさりすると、つつかれた頬を触る。


「ごめんごめん。
でも美和子ちゃんの頬っぺた柔らかいなぁ」


「…もうっ」



「あ、怒った?」

すると、仙道が美和子の顔を覗き込んだ。
目が合う。

「・・・・・!
そ、それよりも仙道くん遅すぎだよっ
練習とっくに始まってるのに」


「うん、だね」


「「だね」ってι」


「ちょっと野暮用があって遅れちゃった。
でも美和子ちゃんが見に来てくれてたんだったら早く来れば良かったな」

「……またそうゆうこと言う」
「ホントなのになー。」

「はいはい、早く練習行きなよ」

美和子は仙道の背中を押し、無理やり歩かせた。

「分かった分かった、
行ってきまーす」


そう言うと、仙道は越野たちが練習している方へ走っていった。


美和子は走っていく仙道の背中を見つめていた。

つつかれた頬がやけに熱かった。




あの後、仙道は田岡監督や魚住にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
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