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『美和子ちゃん……、』
『ん?』
喉まで出掛かっていたところをすぐさま飲み込んだ。
『また練習見に来てね。』
と、その言葉の代わりに出てきた。
そう、仙道は告白するつもりだった。
4年間分の気持ちをぶつけるつもりだった。
美和子を知ったのは中1の夏。
「栄治ー!いけー!頑張れー!」
ベンチで人一倍、大声で相手側の選手に応援していた。
「すげーな、あの子。」
おんなじチームの誰かが言う。
「でも、可愛いくね?」
「うんうん。あのショートがたまんねー。ヤりてー」
「やめろよ。」
睨みを利かす仙道
「なっ…なんだよ、仙道」
「今、試合中なんだぞ」
ベンチが一斉にして静まる。
「わ、わかったよ…じょ、冗談だよっ……」
「いけー!そこだー!」
またベンチからの声が響きわたるとロングシュートが決まる。
「ビッー!!」
同時にブザーが鳴った。
「負けたか。」
仙道はそう呟くと、さっきのショートヘアーの女の子を目で探す。
すると最後にロングシュートを決めた選手にタオルを渡していた。
楽しげに話をする二人。
その二人の姿をずっと見続ける仙道だった。