Book

□現実は、遠いのです。
1ページ/9ページ

久遠の後ろから、教室内を見まわす。
すると、いきなりざわっと教室がザワめいた。
え、何?
オレ?久遠の後ろから現れましたオレのせい?
「藤岡じゃねえか、アイツ・・っ」
「うわ、マジで興明だったんかよ・・」
ん?オレじゃなくて久遠の話?
「久遠、知り合い?」
思わず久遠の顔を覗き込む。
そして、後悔。
やべ、怒ってる?
久遠はオレをそっと遠ざけて、そこらへんにあった机を蹴り倒した。
「誰だか知らねえけどよ、人の顔ジロジロ見てンじゃねえよ」
その瞬間、教室が凍りつく。
へ?久遠、どうしちゃったん?
まさかの有名人?
わお、楓汰クンびっくり。
「フウ、席どこ」
「へっ?あー、そこ」
窓際の日当たりのよさそうな席を指さす。
すると久遠はその横の席に向かっていく。
あれ、久遠はあっちじゃね?
「オイ、どけよ」
えええええー。
久遠はあろうことかそこに座ってた茶髪の人にそう言った。
「どけっつってンだろうが」
そう久遠がもう一度つぶやくと、その人は無言で席を立った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ