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□だって、君が笑うから。
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あー・・・春だねー。
空を見て、ふとそう思った。
オレ、菊池楓汰(キクチフウタ)は、今日めでたく高校へ入学いたします。
そんで今、同じ高校に進学した中学からの親友、遠藤直弥(エンドウナオヤ)の家に向かってる。
その途中、ポケットに入ってる真新しい携帯が震えた。
「もしもーし」
『あー楓汰ー?今どこー?』
「えー、今ナオくんち向かってんだけどー」
電話の相手は、ナオくん。
あ、ナオくんってのは、さっき言った直弥のことね。
「ナオくん家いねーの?」
『いるけどー。今何時か分かってるかい?アホの楓汰くん』
そう言われて、そう言えばオレ、のんびり歩いてんなあ、とか思ったりする。
「今何時ー?」
『8時30分ー。ハイ、遅刻けってーい』
ぎゃははは、と笑うナオくんにつられて、オレも笑う。
入学早々遅刻とか、目ぇつけられそー。
「ごめんよ、ナオくん」
『まー楓汰だもんな!それに重役出勤とか超目立ちそうじゃん!?それもいーかなー』
楓汰だもんな、って、それ結構失礼じゃね?
とか思ったけど、今回はオレが悪いから我慢する。
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