□あ、やばいかも。
1ページ/7ページ

【捺来目線】

いつもの帰り道。
いつもの光景。
「坂上ーっ!ちゃんと拾えーっ」
「うっす!」
このクソ暑いなか、延々とデケえ声出して頑張ってる野球部の連中。
まあ何つーか、お疲れって感じ?
でもその中で、すげえ楽しそうに練習してる奴に、オレはいつも目がいく。
坂上航大(サカガミコウダイ)。
クラスメイトで、結構仲の良い友達だったりする。
航大はいつも、いくら暑くても、監督に怒鳴られても、楽しそうなんだ。
その姿を見ながら、いつもオレは家に帰る。

◇◇◇

「おっつー、なっちん」
「おっつー」
なっちんって、やっぱ女みてえ。
あ、オレの名前は香川捺来(カガワナツキ)っつーのね。
それで、皆になっちんって呼ばれてる。
「おー!おはよ、捺来!」
席に着こうと自分の席に向かうと、オレの前の席に座る航大が話しかけてきた。
「おー。おはよ」
うー、爽やかだねー・・・。
なんかキラキラ光ってみえちゃうよ。
「何、どうしたん?」
「んー。オマエ、まじで男前だよなあ」
まじまじと航大を見つめる。
切れ長の瞳に、坊主よりもちょっと伸びてる髪の毛。
背も高くて、マッチョじゃないけどちゃんと筋肉がついてる身体。
しかも性格が人懐こいときた。
そりゃモテるに決まってんだろー。
「ふ、何ソレ。そんなん捺来の方でしょ」
「いやいや、マジでマジで」
いつも航大は、笑っている。
・・嫌なこととか、ねえんかな。
や、航大の性格だから、あっても誰にも言わねえんだろうな。
「なんかあったら言えよー?」
オレが唐突にそう言うと、航大は目を丸くした。
あー、こういうギャップに女子はやられるんですね、分かります。
オレでもちょっとトキめいたわ、うん。
「うはは、うん。ありがと」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ