贈り物

□黒猫の暗黙事項〜紫煙の黒猫と天使の涙〜
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黒猫の暗黙事項
〜紫煙の黒猫と天使の涙〜









悪魔界



ひっそりとした路地裏の細い道を何回も曲がりつつ歩いていけば
これまたひっそりとしたレンガ造りの店が現れる。
暗い紫の板に細い金色の飾り文字で【Unincuboeterno】と書かれた看板。



その店のオーナー――『黒猫』は、
カウンターでキセルを片手に客を待っていた。
黒髪、黒い瞳、黒い服と全身黒尽くめ+童顔の『黒猫』は
意外にも、喫煙者なのだ。そして、実はシェイリより年上。



「あー………暇だわ」



しゃべるたびに、薄桃色の唇から紫煙がこぼれ
カウンターのあたりにただよう。
『黒猫』――本名レイ・ニーニは、またキセルを口にして紫煙をくゆらせた。



客が少ないのも当然だろうか
悪魔界の地図に、この店のことは書かれていないのだから。
自分の意思でそうしたのだけれど客がいないのはやっぱりつまらない。



  

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