Alice? -long-

□4
1ページ/3ページ






星が出てきた。
夕焼けが暗闇に消える。


そろそろ、行かなくては。
首を刎ねられてしまうから



「国王陛下、
どちらへ行かれるのです?」


トランプの一人である女性と長い長い廊下で会った。


「女王陛下に呼ばれるのよ」


出来る限り困った顔をしたつもりだが、苛々してるのが目に見えてるのだろう。


「あまり夜更かししますと、明日に響きますわ。
お気をつけて」


黒いドレスの裾を持って、頭を下げると、そそくさと歩き去っていった。

背中が小さくなるのを確認して、彼の部屋へ足を進めた。





(そんなに怖かったかしら)





コン、コンッ


「女王陛下、私です」

扉が大きい。だが扉の前には誰もいない。
危なくないのか。



「入りたまえ」



凛とした声。
重そうな扉が開かれると、2人の女性。
扉を開けてくれたのだろう



「ジャック。
しばらく私の部屋には誰も近づけるな」



奥の広いガラス窓の前に
佇んでいる女王様。
隣には、城内でも珍しい男の兵。



ジャック、というらしい。




彼は静かに頷いて、
こちらに向かってくる。
私の前で立ち止まり、
頭を下げる動作が不覚にも素敵だと思った。



「…」



ガタンッ…



女王陛下は、近くにあったテーブルでワイングラスを持っていた。




「きたまえ」



広げられた手。
渡されたグラスには白ワイン。



「…赤ワインではないんですね」



口をつけてみると、上質なワインが喉を通る。


この至福。



「私は赤い色が嫌いだ」



「ふふっ」



少し眉を潜めた彼は真面目な顔で、本当に嫌いらしい。






何だか似てる。私たち。






「私もなんです」



赤は、嫌い。







冷たい指が私の首を滑り、

髪を掬う。







抱き寄せられた肩。






そんな顔をして、









私の話が、聞きたいのでしょう?






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ