Alice? -long-
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ハートの国王が不思議の国にやってきて数日が経つ。
…彼女自身は知らぬが、
` `
“国王がいる”という、
` `
密かな騒ぎは、
治まりつつあった。
カチャ、カチャ
綺麗に整えられた美しい庭に響く、
食器の擦れる音と、声。
庭に用意された
テーブルと沢山のお菓子。
長テーブルの端と端に女王と国王が座っている。
用意されたお菓子も紅茶も凄く美味しい。
国王は時折、喪服の女性達に声をかけながら、
お茶を楽しんでいた。
それを、満足そうに女王は見ている。
「…国王陛下」
「どうしました?女王陛下」
彼は頬杖をつき、
彼女を見据える。
対象的に、
彼女は姿勢良く、
彼の言葉を待つ。
「私との暮らしはどうかね」
国王は少し目尻を下げ、
申し訳なさそうに、諦めるように口を開いた。
「最近、やっとこの状況に慣れたので。特には何も。
…ただ、やっぱり私は、
男性が嫌いですわ。」
すっ、と細められた瞳は
決して冗談ととれない圧力が含まれている。
それでも、
女王は気にも留めず、
さらには笑みを浮かべる。
「私が気になるのは<それ>なのだがね?」
女王が、
彼女に向かってにこりと
微笑んだ時、
…チリ---ン…
鈴の音が、
―――――鳴った。
…