Alice? -long-

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アリスのいない不思議の国は静かだ。




これを平穏と感じるか哀しみととるかは人によって違う。






「女王陛下、外へ出ても宜しいですか」


「…駄目だ」



膝の上、朝から書類に目を滑らせる彼に聞く。
お願いだと言っても
空いた手で体を弄っているだけで首を縦に振らない。




「お願い」


「…君が出れば帰りが遅くなりそうだ」




…嘘はついていないようだが納得のいかない返事。




「少しだけ、用事があるんです」


「誰に」




手がシャツの中に侵入する。

機嫌が悪いのか、
周りの目を気にして見てもジャック以外のトランプは見当たらない。

広く長い廊下の先の門に立つジャックは
頑張れと書いたフリップを見せてきた。
助けてはくれないようだ。






「…    に聞きたいことがあるの」




あの子について。
```













ガラガラ…


馬が馬車を引く音。

流れる景色。



不思議だ。城を出るのは初めてな筈なのに。




ワァッ…キャーキャー

「国王陛下だ!」「国王様」「本当に国王様だ!!」




女王陛下が一緒に来なかった意味が分かる。


たくさんの人。花、
人箱人人人人人花人箱人人人人人箱人人花箱箱人人人箱人人花人人人人人人花人人花箱人人人人花人人人箱人箱人人人人箱人人人人人花人人人人箱花箱箱。

それも人のほとんどが男。
たまに女性や子供がいるが。




初めてのお披露目だと、これが当たり前らしい。










なんて暇人共め。










だけど感謝するわ。




これだけの人達が

私を助けてくれるなんて。
` ```







ガチャ



馬車が止まり、扉が開く。



コツ…


国王陛下が纏っていた服はドレスなんかでは無い。
マントの隙間から
美しい四肢が見え隠れする短いタイトスカート。
紺のシャツにシンプルなブーツ。

多くの者を魅了するのに時間は掛からなかった。
詰め寄る人。
トランプ達が必死にプレゼントを回収し
直に受け取ることもある。







さあ、





「フフッ…ありがとう」






今なら出来る?









「…綺麗な花」





ガチャ、バタンッ




ドサッ…
馬車にプレゼントを置く。



パサ…
マントを脱ぎ、
服の上からドレスを被った。




ガチャ、コツッ…
人が集まっている方とは反対の扉から出て、





私は人混みの中へ紛れる。






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