kurobasu -long-


□4
1ページ/2ページ





愛の重さなんて知らない。





「゙木下先輩へ
 好きです。大好きです。゙

 …キモすぎるんだけど」





ぷうっ、とガムが膨らんだ。



男子バスケ部部室。


今は丁度、4限真っ只中。
原君からメールが来て、退屈ならサボろうと誘われたので
現在進行形でサボってる。


ん?浮気じゃないよ?

私、花宮くん一筋だし!←






「結構モテるよね。何気に。」


『失礼だよね。何気に。』





彼が花宮くんのロッカーから
引っ張り出してきたのは大量の手紙



全て私宛てらしい。




『いいの?こんなに勝手に見ちゃって』


「いいっしょ。実際は木下さんのだし?」




封が切ってあるものと切ってないものはバラバラだ。
一応、封が切ってあるものだけ観覧。


理由ば花宮だと、全部覚えてそゔだからだ。




『珍しいよね。原くんが私呼ぶの』


「花宮のやつに、ちょろっと仕返し」



これが彼らのコミュニケーション。


やられたら、やり返せ。
って繰り返しじゃない。意味ないなぁ。







「…そだ、よく付き合ったね。花宮と」


唐突に何を言うかと思えばシンプル。
いずれ聞かれると思った。



『意外?』


「かなり。
 花宮ってあんなんだから重くない?」
 


確かに。意外だろう。
学年も違ければ生徒会に入っている私と

監督を辞めさせちゃったり
ラフプレーで人に怪我させる彼。


でも、好きなものは好きなの。






『…花宮くんがいないと生きていけない』


「…たまに先輩ってウザい」


『むっ…前髪切るついでに目潰しするよ?』


「ぐろいし」








はっきり言うと

手紙にはあまり興味無かったの。



私にとっては、

゙手紙゙を゙花宮くん゙が゙隠し持っていだことに

胸が高鳴る。









原くんと別れてお昼、
お弁当をとりに自分のクラスへ。



教室を出たとき、

彼が。





「4限どこにいた」


ああ機嫌が悪い。


何も答えない私の腕を掴んで、
足の行き先は屋上。




落とされたりしないよね?

…やりそう。怖い怖い。






「座れ、足揃えて」



命令のように言われて素直に応じる。(いつもか?)


すると、
膝元にかかる重み。


頭がある。腰に回される腕。
子供みたい。






『…好き』

本当に。



優しく、彼女は男の髪を指で解く。





『大好き』




みんな、ううん。少なくとも原くん。
勘違いしてるよ。


彼の愛は重くない。



逆に、



重いのは私のほうだと思う。

独占欲も、支配欲も彼以外に見せるつもりなんてない。




私の欲は彼だけのものだから。




「キモいな。黙って」

『4限のことはいいの?』




少し経ってから体を起こした花宮は
林檎を自分の胡座の上に乗せた。




「っは」






「後で、あいつら一人一人調べりゃ済むだろ」



ごめんね。原くん。



『やっぱり花宮くん愛してる』


「だからキモい」




彼の愛が重いなら私は異常になっちゃう。





(林檎さんに余計なもの見せたやつ)

(知らないな。俺は今日会ってない)

(俺も知らないよん)

(原、お前4限居なかっただろ!)

(…原コート入れ) (ザキのトサカ野郎)

(あ゛?!んだと、テメ)

(…落ち着け)


アトガキ→

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ