kurobasu -long-


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『花宮くん』


「クラスにまで来ないでくれる」



一つ学年が下の彼のクラス。
案の定、機嫌を悪くなった君



『次からは気を付けるね』


「用あるなら早く言えよ」


『今日、花宮くんの家行っていい?』


「メールでいいよね」


『だって会いたかったんだもん』

「キモい」


何時もの、不思議な笑みで暴言を吐く。



『多分、私の方が部活早く終わるから待ってるね』


「林檎先輩、授業始まりますよ
 2年のクラス遠いし」


あまりかみ合わない会話。
この子が敬語使う方がもっと“キモい”と思うなぁ。
言わないけど。


『それじゃ、またねー?』


別れを言って教室を出るとき
チラリと教室内に目を向ければ
彼の周りには数人の男女が群がっていた。

すっごい鬱陶しそうな顔。
皆、気付かないんだよねー
もったいない。



『……………ふふっ』









あの女…
面倒くさいことしやがって


「花宮、あの人彼女?」


「一応ね」


「えー、花宮くん彼女いたんだ」

「花宮くんのファンの子驚くよ」


化粧バッチリて顔の女が口を開く。ぶっさいく。



「いないよ、そんなの」


「いるよぉー」「ねえ?」


勝手に騒ぐな。耳障り。


「確か生徒会入ってるよな」


「らしいね」


知ってるよ。
そんな事も知らない様に見えんのか?
ああ、気分悪い。イライラする


「あ、私ノート出さなきゃ」
「そうなの?」「じゃあ」



「ああ」


どうせ、こうなる事見越して来たんだろう。
あの女は。



“俺に彼女がいる”という噂を流す為。


「あ、花宮ー」「お前さー…」


思ったよりも面倒くさい。
後で殴ってやる。
痛くないくせして間抜けな声を
出すのが想像できてウケた。




『(花宮くん、
モテるんだよねー
)』



(花宮ー、さっき木下先輩がクラスまで来たんだけど?)


(俺のところも来た)



(周りが五月蝿いからとりあえず)


(花宮に聞けって言っといた)
(花宮に聞けと言った)


(…)

(花宮!さっき彼女が…)


(山崎、今日練習3倍な)


(ああ゛!?)





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