kurobasu -long-


□2
1ページ/2ページ





「あれ、林檎っちじゃないっすか!」

『何その呼び名、初めて聞いたんだけど』



現在午後7時過ぎ、
ただいま私は家から一番近いコンビニを出ました。
そこで女子の話題で出ないことは無い
有名(イケメンな上にバスケ上手いから)な男達の1人
黄瀬涼太と出会った。
どうやら奴は部活帰りらしく家も近いらしい。



「特定の人には“〜っち”って付けるのが
 俺のマイルールだから。それより、
 随分な服装っすねぇ?恥ずかしくないの?一応女だろ」



本当に容赦が無いと思う。
確かに今の服装は自分でも無いと思うけれど
これは現在進行形で通っている帝光のジャージ下と
ブラウス+セーターである…まるで文化祭準備かと
疑われそうだが、断じて違う。



『…着替えてる途中で炭酸飲みたくなっちゃんたんだもの』

「着替えがジャージっておかしいっしょ〜
 せめてジャージでも現役じゃなくて市販にしたら?」

『えっ勝手にダメ出し始めたんだけど』

「あ、素の林檎っちだ」



しくった、と思ったのも一瞬で
コイツの方がとっくに自分に素なので
気に留めるのは止めておくとしようじゃないか。



『別に隠して無いし…』

「知ってる。つか
 逆に隠してんだったら顔に出すぎ。下手くそ。
 あ、勘違いはダメっすよ?
 これでもアンタのこと気に入ってるんで!」



の割りにボロクソ言いましたよね
お得意の素敵で完璧なモデルスマイルで。
さらに毎度毎度、私の精神に少しずつダメージを与えてくる
どうにかして頂きたいものだ。



『あはは嬉しいなーありがと』

「そんな困った顔で不細工に笑ったって一層酷くなるだけっすよ?」

『そろそろ私のライフ0なんだけど』


彼もちょっと調子に乗っていたのか
軽く睨めば肩を窄めて苦笑いで謝罪を口にする。



「冗談だって!林檎っちも得意だろ」

『いや、全く』

「む。初めて会ったときのこと覚えてないんすか?」

『え?私、何か言った?』

「…いいっすよ〜思い出してくれるまで意地悪するし!」

『理不尽すぎるでしょ!』



もはや只の暴君である。
どんどん性格の悪さに拍車がかかってないか?
もう、分かったからまた明日ね
と早口に言って家に帰ろうとした私の腕を
誰かがパシッと掴んだため動けなくなる。


この状況で私の腕を掴むのは一人しかいないだろう
さらりと彼の黄色い髪が風に揺れている…
ずっと黙っていれば良いのにね?





「家まで案内してよ。
 今度、いきなり押しかけてやるから」





おまわりさん助けてコイツ怖いです




アトガキ→

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ