kurobasu -long-


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本気で人を愛すということを
君が教えてくれたから。



遊ばれてもいいから隣にいたかったんだ。










がちゃ

「…早かったね」

『何時でもいいって言ってたから、』

「そう、入れば」



泣き腫らした目を隠すように普段よりも濃く化粧をしたし
服だって彼の前に立つから、かなり気にして選んだ。
目の前に立つ花宮くんは
昨日も会ったのに凄く懐かしく思えた。




後ろを歩く私の腕、掴んでくれないのね


夏のあの日みたいに力強く引いてくれないのね


先に通された彼の部屋は変わらない。

本当に何も変わらない、このベッドの上で、2人で、





キィ

「とりあえず座っ…」

『っ…ふ、ぅ』




いきなり泣き出した私を


意味が分からないと突き放してくれればいいのに。


そんな眉間に皺を寄せて困った顔して

肩に手を乗せて床に座らせて只、待っている。

私の言葉を待っている、

そして、怒った顔するんだ。



初めからドアを開けた時から怒ればいいのに

どうして優しくするのだろうか。






だから私は調子に乗るの


我慢しようって決めたのに、

飽きられないように捨てられないようにって、


決められたリミットまでに精一杯足掻こうって、



なのに

貴方の手が私の身体の奥から表面まで優しく触れるから

我慢出来なくなるんだ。




貴方からの愛が欲しくなるの。





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