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□さよならで色付く一瞬
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先輩、好き









私は、あなたが、











―――大好きでした。








「…仁王先輩、
 どうして私のクラスにいるんですか」


「ん?別にいいじゃろ」



10cm以上差のある先輩が私の頭をなでる。
というより、ぐりぐりと押してくる。



「背が縮むから止めてくださいよ」



嫌ではない。逆に
面白そうに笑う彼の笑顔が好きだった。



「あ、忘れるところだったぜよ」



遊園地のチケット。
すごく楽しかった。
一緒に撮ったプリクラも残ってる。

夏は一緒にプールに行ったし、
秋は紅葉を見に行ったし、
冬は部屋で会うことが多かった。

楽しくて、幸せだった時間。



「愛しとうよ、」
「私もです。けど、
 恥ずかしいんで言わないでください」

「可愛いのぅ、お前さんは」



幸せ、だったのに。




日が経つに連れ、
先輩のファンからの言葉がキツくなった。
でも、隠してた。
この時間を壊されたくなかったから。




「…」
「仁王先輩、部活頑張ってください」

「…いい加減、名前で呼びんしゃい」

「こ、今度にしてくださいよ」

「顔真っ赤じゃな」

「早く部活行ってください!」






大好き。

いつまでも、
このまま一緒にいたかった。



先輩が、中学を卒業して、
高校に進学した昨日。






終わりを告げた。






「ごめんな」

「?どうしたんですか」




私の前に現れた彼は酷く静かで

悲しかった。




「別れよう」




目の前が真っ白になった。




「好きじゃよ…だけど、
 これ以上傷をつくって欲しくない。

   さよなら、じゃな」






なんで。泣きそうに笑うの。

そんな辛そうな顔するなら、
   言わなければいい。


私は、自分が傷つくよりも、



あなたと別れたくなかったんです。









先輩、



あなたが好きなんです。





虐められてたこと、言わなくて
ごめんなさい。
恥ずかしくて、言葉に出して言えなくて
ごめんなさい。
名前で、呼べなくて
ごめんなさい。


あなたは謝らなくていいの。
だから、お願い。








さよなら、と言った言葉を撤回して。

もう一度私の頭をなでて。




この、真っ白な背景で止まったままの私に

もう一度 会って頂けませんか。












「雅治先輩」




私の世界にをください。
       あなた



大好きです





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