銀色アイデンティティ

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自分が彼女に興味が出てるという事は理解した。





だが、彼女というよりかは“彼”ともいえる性格。




何というか、自分は
彼女と



“友達”になりたいらしい。




思ったら、行動。

そういう性分だ。仕方ない。




「木下さん、」
「ん?あぁ、お帰りー」



部活が終わって、帰ったら、


玄関にいた。




「どっか行くんか?」




今、来たのかと思えば、
いそいそと靴を履いている。



「うん。バイト」
「何をするんじゃ?」
「駅前のレストランの店員だよ」



何年か前にできた、洒落たシックな雰囲気のレストランだろう。
彼女に合っている。


よいしょ、と俺の横を通る。




今日は髪を後ろで結っている。

童顔な青年に見えなくも無い。




「ホールか?行ったらいるんか?」




見てみたい気もする。


夜でも、たまに抜け出しているし
行こうと思えばいけるし。




「…まったく…」



ぺしっ、と肩を叩かれた。
苦笑いで。




「あんまり夜遊びしなさんな


 …女遊びも、ほどほどに。



 わかった? 不良少年」





…女が、こんな男らしい事言っていいのか?



俺が女だったら惚れるぞ。

冗談だが。





「あは、冗談だよ。またね」




林檎は笑って家を出た。

どうやら機嫌が良いようで、鼻歌が聞こえているが、

それは、後で語るとして。




仁王は、林檎が

計算か、素で言ってるのか、

分からなかった。




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