銀色アイデンティティ

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2週間が経ち、木下さんは
週2・3回の頻度で家に来ることを知った。

本人や姉に聞いたでもなく、玄関の靴でわかる。

サンダルやブーツじゃない、少し洒落たスニーカー
カラフルな、鮮やかな蛍光色の、男でも履けそうなデザイン


そう、偶々廊下で鉢合わせた水曜日の8時頃。

気にしてもいないし、
実際そんなに話すことはない

だが、前から気になっていた事を聞いてみた。


“大学どこ行っとる?”


立海大の敷地内で、姉と、
このような女がー緒にいる所なんて見たことがないから。

かといって東京か、そこらの大学でこんな頻繁に来る
とか、交通費がヤバいだろ。

免許とってて
車で来てんなら分かるが。

彼女は少し笑いを含め呆れたように

「立海だよ」

“高校から仲いいって言ったじゃない?
 私が外部から立海入ったから”

と言った。


あぁ、そういえば言っていた。

一人納得して
部屋に戻ってみたが、、

その後、姉を見かけても、やはり
あの人が近くにいることは無い。


さらに謎が深まってしまった。


一度気にしたことが
明確にされないと、

なんだか
靄がかかったような錯覚がある。



―――翌日の夕飯後。


「ご馳走様ー」
「…姉貴」


聞いてみることにした。




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