『んー…いい天気だぁ…』
私はくーっと腕を天に伸ばして一気に脱力。
あたたかい陽の当たる縁側にごろりと寝転がって瞳を閉じた。
風で揺れる木の葉の音…
遠くに聞こえる話し声…
とっとっ…と聞こえてきた誰かの足音は縁側に寝そべる私にはやさしい振動ごとダイレクトに伝わる。
「…何してんの?」
『昼寝ー』
「縁側なんかじゃ誰かに踏まれちゃうよ?」
『大丈夫…』
「大丈夫ってそんな確証どこに…」
呆れたような声音が上から降ってくる。
私は少し重くなった瞼を持ち上げ、声音の主を見上げた。
『リクオがいてくれるでしょう?だから大丈夫。』
私が見上げれば彼は驚いて目を見開くが、すぐに彼の口から小さなため息が漏れた。
彼も縁側に座り庭に足を投げ出した。
寝そべる私の視界には初夏のあたたかい風に吹かれ揺れる彼の髪と彼の着る黒い着物。
私は寝そべったまま彼に手を伸ばすが、だらけた私の身体じゃ力も入らなくて彼には届かず宙に舞っただけ。
風に揺れる木の葉を見つめているのか、何か思うことがあるのか…彼はじっとまっすぐに庭先を見つめていて、私なんか視界には入らない。
『リクオ…好き…』
「えっ!?」
少し悔しくなって彼の気の引きそうな言葉を紡いでみた。
案の定、彼は勢い良く私を見下ろしてきた。
私は彼の戸惑って赤く染まった顔を見つめて小さく笑った。
『なに驚いてるの?知ってるでしょ?』
「…そりゃっ!……脈絡なく急に言われるとびっくりするよ…」
『脈絡ならあるよ…』
不思議そうにこちらを見る彼の鼻を摘んでやると彼はフガッと声を出した。
「何するのさっ!」
『ふふっ特に意味はないよ。』
私は不機嫌そうに視線を逸らした彼の袖を引っ張って、再び視線を戻した彼に顔を近づけた。
『ただ、リクオが好きなだけ。リクオとからんでいたいだけ。』
「……またそうやって脈絡ない…」
私は少し身体を起こして真っ赤な彼の頬に触れた。
『脈絡あるよ…だって私はいつだってリクオが好きだから。』
再び私が縁側に転がると隣の彼も寝転がって、私は彼を見つめて小さく笑った。
彼も私に応えて笑う。
「ボクも好きだよ。」
『うん…』
そっと絡んできた彼の手が私の手を包み込む。
きゅっとあたたかくなるのは気候のおかげだけじゃない。
ゆっくりと風が私と彼の頬を撫でて過ぎていく。
それらが…彼と過ごすこの時があたたかくて…大好き。
ゆるゆる
『んー…お腹空いたなぁ…』
「ほんと…自由だよね…」
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最近過ごしやすい気候だなぁと思って出来た話
お題お借りしました^^
→joy