短編
□歪ーいびつー、
1ページ/1ページ
歪
歪んで、腐った世界。
あぁ。
違う。
歪んで、腐ってんのは…俺。
そんな事をふと、交りながら思っていた。
ガツガツと、突き上げる動きに身体を委ねる。
時々、思う。
生きてる事なんて面倒で
全て投げ出したくなる。
なんか、どうでもいい。
相手の男の顔は酷く曖昧に見え
周りは色が無い
相手の体温で、グニャグニャに溶けて
跡形もなく消えればいい
そう、
そして
何も無くなる
猿の様にスラストしていた男は、やがて俺の中へ白濁を放つ。
俺も小さく呻き、白濁を吐く。
要するに、生理現象に過ぎない。
気怠い空気に、俺の吸う煙草の紫煙が混ざる。
シャワーを浴びて身なりを整えた男は、幾ばくかの札をくしゃ、っとベッド脇に置いて出て行く。
俺はまだベッドに、うだうだしてた。
二本目の煙草に火をつけ
俺は自嘲の笑みを浮かべた。
寂しい
虚しい
置いて行かないで
そんな声は届かない
だから
歪んだ感情を抱え
独り朝を迎える。
end.