真・三國無双

□仲達日記〜胡麻団子編〜
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 ○月△日 天気 晴れ


 「仲達仲達ちゅーたつ!」


今日も朝早くから曹丕様にたたき起こされた。
人が気持ちよく眠ってたのに……。


「……なんですか?」

私をまたくだらないコトに付き合わすのは勘弁してほしいものだ。

起きたばかりの私を見て曹丕様はニヤリと笑う。


「花見に行く。すぐに支度をしろ」




いきなりそれか!?

また突発的な思い付きを……。



だがここで拒否しても怒られるだけなので、仕方なく言われた通りにした。
「……わかりました」







 「我が君とお出かけ出来るなんて…私とても嬉しいですわ」

「甄よ、当然であろう。この私と共に在るのだからな」



相変わらず夫婦で、らぶらぶしやがって…。でぇとなら私を連れてくる必要などないではないか!!

この時の私の係だと…?
仕様も無い荷物持ちだ!



今は花見にかかせない“団子”を包んだ風呂敷を持つのが我が役目。


「はあぁ〜…」


「どうした仲達?もう疲れたのか」


人の気も知らずに……私はいつの間に荷物係なのだ?


「我が君、このあたりで休息を取りましょう。ご覧ください、あの美しき花々を…」



「甄よ…どのような美しき花も、おまえの美には到底かなうまい」


「…我が君…」




まるで私が視界内に入ってないかのごとく、そのような会話ばかりしている。


「……あの……曹丕様、お団子をお召し上がりでしょう」


せっかく私が所持してきたのだ。さっさと絶やしてもらわねば!



「そうだな。仲達、準備しろ」

「はい」




しかし私に恐怖が待っていた。

風呂敷包みを解くと、そこに入っていたはずの団子はなく……“肉まん”がその姿を現した。


「!!?」


いや、そんなはずは……馬鹿なッ!?Σ( ̄□ ̄;)


しかも今日は“胡麻団子”で、曹丕様の大好物のひとつでもあるというのに…。それを忘れたとなると大惨事だ!!


「ちゅーたつ、団子はどうした?」


「は、ハイ!ただいま!」



何故だ!何故だ!何故だ?


………………。



あ!






 ―――出発前。



「徐晃、少しよいか?」

「司馬懿殿か、何か?」

「曹丕様が花見に行かれるのだ。胡麻団子の用意をしてくれぬか」

「おお、ちょうど殿が狩りに出掛けられるので昼食の用意をしに参るところでござったのだ。曹丕殿の分も拙者にお任せあれ!」



通り行く徐晃を引き留め、準備させたまでは良かった。



……まさか(親バカ)殿の昼食と曹丕様の胡麻団子を私に渡し間違えたのではないだろうか!!?




 「あの…曹丕様、大変申し上げにくいのですが……」

「ん?」


その冷たい鋭い眼は私の手の上にある風呂敷を睨み付けている。


「手違いで……お団子ではなく……肉まんをお持ち致してしまいました」




眉間にまたシワがひとつ増えた。




「……ならば早急に胡麻団子を持ってまいれ!!」





………やはりこうなる運命なのか。


馬にでも乗ってくるんだったZE!






するとその時、馬の足音が聞こえて来た。





「おお子桓!こんな所で会うとは奇遇だな」




狩りに行ったはずの(親バカ)殿と夏侯惇が偶然にも現れた。



「父よ。私は甄とでぇとで忙しいのだ。早急に去られよ」


「わしらはこれより昼食を取ろうと思ってのう、共にどうだ?」


すごい必死に息子を口説いている…。
夏侯惇もそれに呆れている。



人の否も聞かず、殿は風呂敷を解いた。



案の定、その中には曹丕様の胡麻団子があるわけで……。







「……父よ」


「ム!わしの肉まんはどうした?」



曹丕様の怒りの矛先が上手く殿へ向けられた♪



「それは私の胡麻団子だ!!!」


「お、お、誠か!やめい子桓!渡すから!」






結論。

曹丕様は誰であろうが、自分の菓子を持ち出す輩は許せまいのか……。



フハハハ……!!


☆END_(._.)_


 

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