真・三國無双
□仲達日記〜けぇき編〜
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○月×日 天気 晴れ
「ふははは!!」
初っ端から何を高笑いしているかだと?
それは今日は機嫌が良いからに決まっているだろう。
今日は異国から“けぇき”なるモノが届いたのだ。
これは笑わずにはいられないであろう!
「ふははは!!」
さらに!今日は天気が良い為に曹丕様はご趣味の狩りに出掛けられた。
それはどういうコトかと?
この司馬仲達がけぇきを独り占め出来るというコトだ!!
『仲達、狩りに行ってくる。お前は留守番でもしていろ』
そう言い残して、曹丕様はお出かけになられた。
フン!どうせ私がお供しても邪魔なのだろう!
トントン
「何だ?」
「司馬懿殿!例のモノをお持ちしました!」
おお!意外と早いな♪
「ご苦労。もう下がってよいぞ」
私の目の前に白い箱が置かれた。
聞けば“けぇき”とやらは甘いらしい。
こんなモノが曹丕様に見つかったら……今食べればよいだけではないか!
「ふはははッ!!」
「嬉しそうだな、仲達」
「ハッ………」
私が感動に浸っているところに、聞き覚えのある冷たい低い声が響いた。
「……っそ、曹丕様ッ!?」
「どうした仲達?何をそんなに驚いている」
いや、そりゃ驚くから!
てかあなた狩りどうしたの!?
「そ、曹丕様。狩りはどうなされたのですか?」
と、とりあえず司馬仲達!落ち着け!
「ああ。」
「ああ。じゃ、わかりませんよ!」
人が理由聞いてるのだから答えろよ!
「暑いからやめた」
「はあ…そうですか」
なんスかその理由…。
「ところで仲達」
「…はい?まだ何か」
頼むから早く自分の部屋に帰ってください。
「その白い箱はなんだ?」
「ッ!?いや、これは…」
出たな!俺のモノは俺のモノ、お前のモノも俺のモノ、ジャ○アン精神!
「まさか私に内緒で特製桃まんを食べたのではないだろうな?」
「いえ…桃まんではありません」
ほら、すぐ食べ物だと考える。
「ひとつよこせ」
「だから桃まんではないですからッ!」
このヒト、絶対人の話聞いてない…。
「おまえが私に隠すモノなんて、食い物に決まっているだろう」
「…曹丕様、後ほどお部屋へ桃まんを運ばせますので、お戻りになられてください」
このままでは私のけぇきが奪われてしまう!
「ほう…相当大事なモノなのだな?」
「たいしたモノではございません。早くお戻りに…」
てかさっきから会話噛み合ってねェ!!
「ちゅーたつ!!」
「なんですか!!」
いや、私怒られるコトしてないですケド!?
って、早くしないとけぇきがぁ〜……_(._.)_
「何だ?この白いモノは」
「あああッ!!?」
いつの間にッ!?
嗚呼……私の憩いの時間が……。
「…そ、それは…けぇきという異国の食べ物です……はぁ」
ちくしょう、覚えてろ。
結局、珍しいモノ好きーの曹丕様に2コあったけぇきがひとつ奪われてしまった。
まあ私の分が残ったことを喜ばねばな。
いつもなら
『私と甄で食べよう♪』
とかおっしゃって勝手に持ってくのに……。
……やっと私のありがたみでも分かっていただけけたのだろうか……?
「仲達、食べぬのか?」
「いいえ!いただきます!!」
せっかくの機会を逃してたまるか!
さあ、運命の“けぇき”だ!!
ぱくっ
「甘ッ!!?Σ( ̄□ ̄;)」
油断した…なんだこの恐ろしいまでの甘さは……?
詐欺だ!!馬鹿め!!
曹丕様は当然のようにほおばっていらっしゃるし……。
クソ!
もうこんなモノ誰が食すか!!
馬鹿めが!
★END★