ボカロ小説

□息とアイ
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私たちは「息」というものをしなくても生きていける。
息というものはどんなものなのかは知らないが、マスターは生きる喜びを感じる良いものだと言っていた。

私たちは生きていないからその喜びもわからないけど。






「ミクはいろいろな世界を知ってるわね」

ある日、愛しの人であるルカは私に言った。
優しい表情で、ゆっくり問いかけるように。


「やっぱり一番人気はアップデータも早いのかしら」

「そうかな?あんまり自覚はないけど」

「そうよ。私が知らない間にどんどん色んな事を覚えているわ」


遠い目をして、私の向こうを見ているようだった。だから彼女の心境は理解できなかった。

ルカは私が色々なことを知ってると言うけれど、あなたの心までは分からないわ。


「ねぇ、ルカは人間になりたいと思う?」

「人間に?どうして?」

「マスターが言ってた。人間は息をするから生きる喜びを感じるって」

「…そこまでして欲しい喜びかしら?」

「あ、ルカもそう思う?私もそう思ってた」


私たちは作られた世界の中だからこその喜びがある。
それは人間には分からない喜び。

好きな人とずっと傍にいられるし、電池が切れるまでキスだって出来る。
いい事尽くめの毎日。
息はわからなくても、アイはわかる。



「ミク、あなたはたくさんの世界を知っているわ。」

「そんなことないよ。所詮はアップデータされたものだし」

「ううん。あなたはたくさんのことを知っているのよ。私はあなたしか知らない」


そう言われて、機械の中心核がドクリと一瞬止まった。
まっすぐこちらを見てくる彼女。その瞳には私しか映っていない。
しかし私の目はどうだろう。
ルカ以外の別のものが奥の奥を泳いでいる。


「ミクなら「息」をすることができるんじゃないかしら」

「…っ」


ルカは気づいていた。
私が人間になりたがっていることを。
そのために形だけの情報を集めて、機械に染み渡らせて、食べなくても平気なご飯を食べてみたり、歌の途中でブレスをかけてみたり。
すべて気づいていた。

「…人間になれば新しい喜びを感じれると思った。本当の愛を知ることが出来ると思った」

「確かに私たちの知っているアイは本物じゃないかも知れないけど、私はミクを知っているからそれでいいのよ。それに、本来恋をしないように出来ている私たちが恋をしてしまったんだから、もう私たちは人間なんじゃないかしら?」

くすくすと笑う彼女に釣られて顔がほころぶ。
そうだ、私たちはもう人間なのかもしれない。
このことをマスターに言えばきっと驚くだろう。
その顔がたやすく想像できてしまい、そのまま後ろに倒れて笑った。

するとルカも横になってきたから、額と額を合わせてまた笑った。








(ねぇルカ、もしかして嫉妬してたの?)
(あら気づいた?)








END.

なにこれ意味が分からない←
と、とりあえず補足しますと、人間になりたがるミクと、ミクを包む自分以外の世界に嫉妬するルカ…みたいな…?←聞くな

こんな意味不明な文でよろしいでしょうか…!雨本さまに捧げます!
不満がございましたら返品・書き直し致します!

タイトルは特に意味ないです←

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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