DRRR!
□どっちかっていうとラブかな
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《シズちゃん聞こえてるー?キミの最愛の人、折原臨也君だよー!》
年中ファーコートの男は某ビルの屋上に立っていた。
手にはスピーカーを持ち、シズちゃんシズちゃんとマシンガンのように飛び出てくる言葉は底を尽きることはないようだ。
好き、愛してる、でも嫌い。
なにを言いたいんだと問いたくなるような言葉ばかりが飛び出る。
街行く人は何事かとチラチラ屋上を眺めていたが、近場から感じる殺気を読み取り即座に道を開けた。
偉い人が通るのかと思わず疑ってしまうほどの綺麗な一本道を、片手にガードレールを持った男が歩いてきた。額に青筋を浮かばせながら。
男の名は平和島静雄。
池袋では知らないものはいないといわれるほど、ある意味芸能人以上に有名な人物だ。
そしてビルの下まで着くと、
「いいぃぃぃぃいざぁぁあああやぁぁああああああ!!!!」
ガードレールを思い切り屋上目掛けて投げた。
《おっと》
飛んできたガードレールをものともせずに避けた男は、下に向かって言葉を発する。
《シズちゃん、ガードレールは投げるものじゃないよ?ましてや人を傷つけるものでもない。どちらかと言えば守るほうだよね》
「うるせぇ黙ってろ!今すぐ殺してやる!」
《あっは、こわぁーい》
そのまま男は、落ちた。
下で殺すと喚いている男に向かって。
平和島静雄もろとも周りの人間も驚く。
誰もが死ぬと目をそらしたその時、平和島静雄が一歩足を踏み出した。
「…はは、殺すんじゃなかったの?シズちゃん」
「黙れ殺す!」
「そんな真っ赤な顔で言われても全然説得力ないよ、っと」
「あっ、てめ!」
隙をついて腕から逃げ出し、それを追いかけ、またいつもの喧嘩がはじまった。
いつもの光景に戻ったと街の人々はほっと息をつき、道を急いだ。
《シズちゃん!好きだよ!あ、でもどっちかっていうとラブかな!!》
「お前スピーカーやめろぉぉおおお!!!」
END.
―――
最近臨静書いてないなぁと思いまして。
しかしイザシズに見えない罠。