家庭教師ヒットマンREBORN!

□鮮血のバージンロード
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こんな人生は嫌だ

こんな人と一緒になるのは嫌だ

誰か


誰か私をここから救い出して………


白く綺麗な教会で盛大に行われている結婚式


白く綺麗なドレスに身を纏う私の周りには祝福する人達


隣に座っているのは私の夫になるであろう男

好きでもないのに私はこの男と夫婦にならなくてはいけない


親が勝手に決めた婚約者


私がどうあがこうと運命には抗えなくて



嫌だ嫌だ


嫌だ嫌だ


周りの祝福さえもちっとも嬉しくなんてない



嫌だ嫌だ


この先に行ってしまえば、好きでもないこの男と上辺だけの愛を誓い唇を重ねる 



嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


それでも時は無情にも過ぎていく



そして誓いの言葉


「……誓いますか?」


神父が私に問う




もちろん私の心の中では拒絶反応




それでも言わなくてはいけない

心とは真逆の言葉





『はい、誓います』



これで私とこの男は夫婦になり、これから一緒に生きていかなければならなくなる


最後に本当に愛してる人を思い浮かべる




中学時代、風紀委員長として恐れられていた


よく、私が不良に絡まれた時に助けてくれたな…

皆には恐れられてたけど、私は知ってる


雲雀さんの優しさを



いつもたまたま通りかかっただけだよって言ってお礼言わせてくれなかったけど


あぁ、雲雀さんに会いたい




こんな事になるなら思い切って告白すればよかったな、なんて後悔が脳裏をよぎる


「それでは誓いのキスを」



神父の合図で男の顔が近づいてくる



あぁ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

誰でもいいから


私を救って下さい……





バァァァン!!


扉が誰かによって勢いよく開く


観客も一斉に扉の方に目を向ける


「なんだね君は!!」


新郎は式を邪魔されたことに激怒した

私は目を疑った

扉を開けて来たのは今、自分が想っていた人で、ここにいるはずのない人だから


「美蘭の幸せを壊してるのは君達?」

『……雲雀さん』

「何してるんだ!!
部外者はつまみ出せ!!」

新郎が叫ぶと警備員が雲雀さんに襲い掛かる


しかし、雲雀さんは昔から愛用しているトンファーで次々と警備員をなぎ倒していった

ついには親族、友達、神父さんの全員雲雀さんの手によって紅く染められていた
ったのは雲雀さんと私と新郎だけになった


「な…なんなんだよ……
なんなんだよお前は!!」



「ねぇ、美蘭
君はこんな人生でいいの?僕と一緒に来なよ
僕なら君をここから救ってあげられる
君を幸せにできるよ」




雲雀さんは私に言った
私は信じられなかったけどこくりと静かに頷いた
涙を流しながら


「そう……」


雲雀さんは静かに少しだけ微笑むと隣で怯えていた新郎めがけてトンファーを振り下ろした


「美蘭の隣にいれるのは僕だけだよ」


そう言いながら新郎が倒れ込むのを見下していた

ついにこの教会には私と雲雀さん二人だけになった


雲雀さんは私の手を取ると静かにゆっくりと扉に向かって歩きだした


『あの、雲雀さん………』


「なんでって言いたそうだね
ちゃんと答えてあげるよ君が中学から好きで忘れられなかった
だから、君を迎えに来たんだよ」



私はただ嬉しくて嬉しくて
とめどなく溢れてくる涙を拭って雲雀さんに抱きついた


これからは雲雀さんと一緒に生きていけるんだ
本当に好きな人と一緒に生きていけるんだ

雲雀さんは私を優しく抱きしめ返すと

「僕と生きる覚悟はできてるよね?」
と囁いた



私はもちろんと返して雲雀さんに手を引かれ教会を後にした………

その時二人で通ったバージンロードは血で染まった綺麗な道だった 

全て嫌だった
勝手に全て決められて
心を偽り生きてきた


それも今日まで
貴方が迎えに来てくれたから………




今から人生始めます





―鮮血のバージンロード―



(そう、貴方と一緒に)
(やっと見つけた僕の美蘭、もう嫌と言われても離しはしないよ)





fin.


 

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