血桜開花録

□秘密
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あ、忘れてた。今日ってもしかして<アレ>の日?だったら総司の巡察には着いていかなきゃいけないと思う。


土方さんの部屋を出て、巡察の準備をするために自室に向かう。浅葱色の羽織をはおって、自身の愛刀の「桜龍」を今日は左腰に差す。


門の前にはすでに総司と千鶴ちゃん、そして一番組の隊士たちが私を待っていた。


「待たせてごめん!早く行かないと土方さんに怒られちゃう!」


「そうだね。じゃあ行こうか」


「はい!!」


外に出られるのが嬉しいのか、千鶴ちゃんの顔がとってもきらきらしているというか…。


「千鶴ちゃんってば、なんか遠足に行く子供みたい。」


私がそう言って笑うと千鶴ちゃんは顔を真っ赤にして頬を膨らませた。


「そっ…そんなことないです!!」


「あはははっ!やっぱりそういうところが可愛いなあ。私とは大違いだよ!」


「そうだね。架蓮ちゃんはどちらかといえばたくましいよね?」


「なんか言ったかな?総司ぃ??まあ、冗談はこれくらいにして…」


私はそう言って一度言葉を切った。


「…でもね。総司が言うように、巡察は危険を伴うものだからね?今日は私と総司のどっちかから離れてはいけないよ?」


そう言われると、さっきのきらきらした笑顔が嘘のように陰った。


「……ぅ、はい」


「じゃあ、巡察が終わったら私と一緒に甘味処に来てくれない??お団子食べたいの!」


「はい!!!ぜひ!」


やっぱり女の子はいいなぁ。と再度思った架蓮だった。


「ていうかさ、ここで口説いちゃう架蓮ちゃんも架蓮ちゃんだよねぇ。」


私はその総司の言葉をスルーして


「……って、あああ!巡察行かなきゃ!土方さんに殺される!!」


私がそう叫ぶと千鶴ちゃんは顔を青くした。総司はそんなの関係ないという顔で屯所の門を急いで出た。







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