血桜開花録

□秘密
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あれから、土方さんと山南さん、そして蓮兄が帰ってきて、私は少しだけ秘密について話すことにしようと思う。


そういえば、蓮兄の怪我はそんなにひどくなく、無事だった。よかったなあと思ったり思わなかったり…。


そんな事を縁側で考えていたら、千鶴ちゃんが山崎さんに連れられてこちらに向かってきた。


「千鶴ちゃん!!山崎さんっ!」


私は手を大きく振って、二人を呼んだ。


「架蓮ちゃん、今日は非番なの??」


「ん?……たぶん。」


私が頭を掻きながら言うと、すかさず山崎さんがこう言った。


「君は今日…確か沖田組長率いる一番隊と巡察なはずだが??」


「え〜!!やだ。しかも総司でしょ?最悪。」


私が悪態をつくと、山崎さんの眉間のしわが一本増えた。


「君はそれでも組長補佐なのか?!」


「私、なりたくてなったわけじゃないし。でもここにきてよかったと思ってはいるかなって…、…二人とも呼ばれてたんじゃないの?」


私の一言に二人はハッとした表情をした。明らかに忘れてたって顔してる。


「そういえば、そのお呼ばれだけど。私の事も呼んでなかった?」


彼は頷いた。私は重い腰をあげて二人と一緒に副長さんの部屋に向かった。


私たちが部屋に着いて、中に入ると総司と平助がいた。二人は私たちを見てやっときた、というような顔をした。


「ごめんごめん。私を呼ぶために二人とも苦労したらしくてさ。」


そういって笑う私。するとそんなこともお構いなしに土方さんが口を開いた。


「お前に外出許可をくれてやる。」


「え?」


千鶴ちゃんは信じられないといった表情で土方さんを見る。


「鬼さんがいったいどういう風の吹きまわしですか〜?珍しい事もあるんもんですね。」


私が皮肉たっぷりに笑うと眉間に皺を作って、


「うるせえ。おめえは黙っとけ。」


と返事を返してきた。


「巡察する組に同行しろ。そしてその組の組長の指示に従え。」


場にいる人もそっちのけで話を進める土方さん。


「今日の巡察は確か総司、平助の組だったよな?」


「なるほどなぁ。だから俺と総司が呼び出されたのか。」


用件を伝えられてなかったらしく、二人は今、理解したというような表情になった。



「よかったね、千鶴ちゃん。この一歩は貴女にとってとても大きなモノに違いないと思う。どうか訪れた今日を大切にね。」


「…う、うん!!(架蓮ちゃん…?)」


すごい嬉しそうな顔をして私に笑いかけてくる千鶴ちゃん。


「お昼の巡察について行くんですよね。なら、千鶴ちゃん。準備してきな?私もすぐに行くから。」


「うん!わかった。早く来てね?」


そういって、千鶴ちゃんは部屋から出ていった。


「それで、私から…少しお話がありまして。でも千鶴ちゃんにはまだ話せない。ので、夜にでも幹部全員を広間に集めてもらえますか?」


私の真剣な眼差しに彼等も真剣に答えてくれた。


少しだけ、私のお話に付き合って下さいな。今の私たちの足場が崩れる前に……



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