血桜開花録

□千鶴ちゃんの腕試し
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私と千鶴ちゃんの処分が下されてから数日がたったある日のこと。


私は暇だったので屯所の中を歩き回っていたら、ある人たちが目についた。


「千鶴ちゃん!!おはようっ!」


「あっ…桜条さん!おはようございます」


千鶴ちゃんは可愛く私にお辞儀をしてくれた。


「千鶴ちゃん、可愛い!!なんでこんなに可愛いの!?」


私は千鶴ちゃんに抱きついた。千鶴ちゃんは顔を真っ赤にさせている。


「君達さ…今男装してるんだよ?」


この意味、わかる?と笑顔で言ってきた。


「うう…!でも千鶴ちゃんが可愛いのは事実じゃない!!」


「桜条さん///そんなことないですよっ!」


私の発言に顔を赤くして俯く千鶴ちゃん。


本当に可愛い!あー、可愛い!!!
私は可愛くて仕方がなかったので千鶴ちゃんんを精一杯抱きしめた。


「ふわあっ!桜条さん恥ずかしいです」


男装していることさえも忘れて、私たちはというか私が一方的に抱きついた。


それを不満げに見ている総司に、少し赤くなっている一君。
一度、千鶴ちゃんを離してあることを尋ねる。


「…あ、そういえば千鶴ちゃんって歳、いくつ?」


私の唐突な質問に千鶴ちゃんはあわてながらも答えてくれた。


「えと…、16歳ですけど…?」


「えっ?……えぇええぇっっ!!?」



「どうしたんですか?…私、なにかしましたか?」


すごい心配そうに私の顔を覗き込んでくる千鶴ちゃん。そんな…。というか私…



年下なのに千鶴ちゃんにタメ口じゃん!どうしよう!?とにかく謝らなきゃ!!


「ご、ごめんなさい!!私、千鶴ちゃんじゃなくて雪村さんよりも年下だったんですっ!今、気が付きましたぁ!ごめんなさいぃ!」


「……へ?」


千鶴ちゃんは思いもよらない角度からの反応に対応しきれずにいた。


「えっと…だからそのっ!私、15歳なんですよ!!雪村さんより年下なのに敬語なんてって使わないでって思ってっ…その…」


自分でもう何を言っているのかもわからなくなってきた私。


「あはははははははっ!!(泣」


さっきまで不機嫌そうな顔をしていたが一変して涙が出るくらいに大爆笑している総司。


「…いや。ほんっとうに面白いなあ…君たち兄妹って。」


「あれと一緒にしないで!!」


あんな変態と一緒にされるなんてまっぴらごめんよ!


「…桜条さん?どうかされたんですか?」


「えと…その、あの桜条さんっていうのやめにしてくれませんか??架蓮でいいですよ!」


「…え、いいんですか??」


「うん!!ぜひ!あと敬語もなし!」


「……うんっ、よろしくね!架蓮ちゃん」


お互いに打ち解けたところで本題に入ろうと思い、話を切り出した。



「そういえば千鶴ちゃんってお父様のこと探したいとか思ってない?」


「え?……それはっ……」


千鶴ちゃんは思わず口をつぐんだ。


「まあ、いきなり外に行かせてはもらえないだろうけれど、ここで巡察の邪魔にならないくらいの腕かを証明すればいいんじゃないの?」


「総司にしてはいい考えだね?」


「シめるよ?架蓮ちゃん」


「ごっ…ごめんなさい!」


すると一君が溜息をついてこう言った。


「それならば、俺が相手しよう。どこからでも打ちこんで来い。」


そういって居合いの構えをとる一君。


「でっでもっ!!刀で人を刺したら死んじゃうかもしれないんですよ!?」


そんな千鶴ちゃんの発言に私と総司は笑っていた。


「あっははっ!!一君にそんなこと言うなんてねっ…」


総司はお腹を抱えて笑う。


「千鶴ちゃん。一君はこんなところで死ぬ人じゃないから、本気でやっても大丈夫だよ?それに人に刃を向けたくないのなら鞘に入れたまま、打ち込めばいいんじゃない?」


と私は千鶴ちゃんを安心させるような声音で言う。


「わ、わかりましたっ!では、行きます!………やああぁあぁっっ!!」


千鶴ちゃんが小太刀を振りおろそうとしたその時、一君の刀が太陽光を受けて、銀色に煌めいた。


千鶴ちゃんの小太刀は弾き飛ばされて地面に突き刺さった。一君の刀は千鶴ちゃんの喉元ぎりぎりに。一君の行動に千鶴ちゃんは息をのんだ。


一君は自身の刀を鞘にしまった。




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