いつの間にかお前から目が離せなくなっていた。お前の事を一秒でも長く見つめていたいくらいに。
「なぁ獄寺」
「なんだよ、山本」
「俺は…お前の…」
お前の何なんだ?
「お前の…続きは何だよ」
「いや…別にっ」
こんな事聞いただけ無駄だ。お前を困らすことしか出来ないのだから。
「獄寺君、山本ー!!」
「十代目ーっ」
俺といる時とは違う、嬉しそうに目を輝かせてツナに駆け寄る。そんなお前を見るだけで、俺の心はズタズタに引き裂かれていくんだ。
「山本…どうかした?」
ツナの心配する声ですらただの雑音に聞こえてくる。
「いや…何でもないっ!教室戻ろうぜ、授業始まっちまう!」
俺は笑う。醜い、欲望に渦巻く心を隠すために。
『十代目は、山本の笑う顔が好きなんだよ…だから笑ってろ!!』
いつだったか、獄寺が俺に言ってきた。例えお前の自身の望みじゃなくても、俺は''好き''だ、その一言で幸せ
なんだ。
だから、
「おい山本っ十代目をお待たせするんじゃねー!!!」
「おおっ今行く!!」
お前が俺を呼ぶのなら、俺はそれに答えるだけ。お前が俺を求めなくても、俺がお前を好きというのは変わらない。
遠く、遠く、君を想う
(それは、きっと運命)